ニアミス

ニアミスとは

ニアミスとは、「もう一歩のところで」という文字通りの意味合いから派生し、様々な分野において「事故や損害が発生する寸前の状態」を指す言葉として用いられます。ここでは、ニアミスの様々な分野での意味と、その重要性について解説します。

1. 航空分野におけるニアミス

航空分野では、ニアミスは航空機同士が異常接近し、空中衝突の危険が生じた状態を指します。具体的には、航空機間の距離が安全基準を下回り、衝突を避けるために急激な回避操作が必要となる状況です。この回避操作によって、乗客が負傷する事例も報告されています。

アメリカ連邦航空局（FAA）では、ニアミスの基準として、航空機間の距離が半径150m以内、高度差が60m以内という数値を用いています。しかし、日本では明確な基準は定められていません。

ニアミスの発生は、航空管制の不備、パイロットの判断ミス、機材の故障など、様々な要因が複合的に絡み合って発生する可能性があります。ニアミスの事例を分析し、再発防止策を講じることは、航空安全を確保する上で非常に重要です。

2. 安全管理におけるニアミス

安全管理の分野では、ニアミスは「ヒヤリ・ハット」とほぼ同義で用いられます。これは、事故には至らなかったものの、一歩間違えれば大事故に繋がった可能性のある事例を指します。例えば、作業中に工具を落としそうになった、足元が滑りそうになった、などがニアミスに該当します。

ハインリッヒの法則が示すように、1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故、そして300件のニアミスが存在すると言われています。ニアミスの事例を収集・分析することで、潜在的な危険因子を特定し、事故を未然に防ぐための対策を講じることができます。

3. 軍事分野におけるニアミス

軍事用語としてのニアミスは、目標に対して「至近弾」であった状況を指します。砲弾やミサイルなどが目標の近くに着弾した場合、目標に直接的な損害を与えなかったとしても、ニアミスとして記録されます。ニアミスのデータは、射撃の精度向上や、兵器の改良に役立てられます。

4. エンターテイメント分野におけるニアミス

テレビ番組や舞台などのエンターテイメントの世界では、共演NGや不仲のタレント同士が、舞台上で鉢合わせそうになる状況をニアミスと表現することがあります。これは、文字通りの「すれ違い寸前」の状態を面白おかしく表現したもので、一種の演出として用いられます。

ニアミスの重要性

ニアミスは、一見すると「何も起こらなかった」出来事として見過ごされがちです。しかし、ニアミスは、事故や災害を未然に防ぐための貴重な情報源となります。ニアミスの事例を積極的に収集・分析し、その背景にある原因を特定することで、より安全で安心な社会を構築することができます。ニアミスを「教訓」として活かす姿勢が、私たち一人ひとりに求められています。

関連用語

ハインリッヒの法則
コリジョンコース現象
* 日本航空機駿河湾上空ニアミス事故

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