ニイハウ島

ニイハウ島：閉ざされた楽園の素顔

ニイハウ島は、ハワイ諸島の主要8島の中で最西端に位置し、カウアイ島の南西27kmにあります。面積は約180平方キロメートルで、主要8島の中では2番目に小さい島です。その歴史は古く、約490万年前から活動を開始した楯状火山によって形成されました。現在は火山活動を終え、最高峰のパニアウ山（標高381m）を抱く静かな島となっています。

独自の歴史と所有

1778年にジェームズ・クックがハワイ諸島を訪れた際、ニイハウ島は食料や水の補給地となりました。1795年にカメハメハ1世がハワイ王国を建国した後、カウアイ島と共に王国の支配下に入ります。1864年、エリザベス・シンクレア夫人がカメハメハ5世からこの島を買い取り、以来、シンクレア夫人の末裔であるロビンソン家が所有しています。

島への出入りは厳しく制限されており、ロビンソン家の親族とカウアイ郡の関係者を除き、一般の立ち入りはヘリコプターツアーのみに限られています。この閉鎖性が、ニイハウ島の独特な文化と自然を守る一因となっています。

静かな島での暮らし

ニイハウ島には、舗装された道路、自動車、商店、レストラン、医師、警察、消防といった現代的な設備はありません。島民のほとんどは純粋なハワイ人で、ハワイ語のニイハウ方言を使い、プウワイという村で伝統的な生活を送っています。自給自足に近い生活を送りながらも、カウアイ島への買い物や親戚訪問など、他の島との交流も行われています。

かつて島では牧畜や養蜂が行われていましたが、牧場は1999年に閉鎖されました。人口は減少傾向にあり、2010年の国勢調査では170人となっています。しかし、実際に島に住んでいるのは約70人で、夏季休暇シーズンには30人を下回ることもあるそうです。

悲劇の記憶：ニイハウ島事件

ニイハウ島は、第二次世界大戦中に起きた「ニイハウ島事件」の舞台ともなりました。1941年12月7日、真珠湾攻撃に参加した日本の零戦がエンジントラブルでニイハウ島に不時着。操縦士の西開地重徳一飛曹は、日系アメリカ人によって一時的に匿われましたが、その後、島民との間で争いが発生し、最終的に西開地は殺害され、日系アメリカ人も自殺するという悲劇的な結末を迎えました。この事件は、戦争の悲惨さを物語る出来事として、ニイハウ島の歴史に深く刻まれています。

観光と文化保護

ニイハウ島への観光は制限されていますが、ヘリコプターツアーに参加することで、上空から島の美しい景色を眺めることができます。また、ロビンソン家は、ニイハウ島の文化遺産を保護するための活動を行っており、島の伝統文化を後世に伝える努力を続けています。

ニイハウ島は、その閉鎖性と豊かな自然、そして独特な文化を持つ、ハワイ諸島の中でも特別な存在です。観光客が押し寄せる他の島々とは異なり、静かで落ち着いた時間が流れるニイハウ島は、ハワイの原風景を今に伝える貴重な場所と言えるでしょう。

もう一度検索