ニケフォロス朝

ニケフォロス朝の興亡

ニケフォロス朝は、802年から813年まで、東ローマ帝国を支配した王朝です。イサウリア朝の女帝エイレーネーが廃位された後、ニケフォロス1世が帝位を継承し、この王朝が始まりました。しかし、ニケフォロス朝の帝権は以前よりも脆弱で、安定を欠いていました。また、財政面でも問題を抱えており、帝国の運営は困難を極めました。

帝国の苦境

ニケフォロス朝の時代、東ローマ帝国は国境における戦いに明け暮れ、慢性的な財源不足に悩まされていました。度重なる戦費の支出により、帝国の財政は疲弊していきました。さらに、ニケフォロス1世自身も、他の多くの皇帝と同様に、ブルガリア軍との戦いで命を落としました。また、西方では、800年にカール大帝がローマ皇帝として戴冠したことにより、東ローマ帝国の西側に対する影響力は低下の一途を辿っていました。

ニケフォロス1世の治世

ニケフォロス1世は、財務長官の経験を買われ、エイレーネーの廃位後に帝位に就くと、すぐに財政改革に着手しました。彼の行政改革には、テマ制の再編も含まれていました。803年には反乱を鎮圧するなど、軍事的な手腕も発揮しましたが、805年のフリギアのクラソスの戦いでは敗北を喫しました。そして、ブルガリア軍とのプリスカの戦いにおいて戦死し、その治世は終わりを迎えました。

後継者たちの短い治世

811年、ニケフォロス1世の死後、息子のスタウラキオスが帝位を継承しました。しかし、スタウラキオス自身もプリスカの戦いで重傷を負っており、帝位継承をめぐる争いが勃発しました。最終的に、姉妹プロコピアの夫であるミカエルに説得され退位、ミカエルがミカエル1世ランガベとして帝位に就きました。ミカエル1世は、外交政策よりも軍事政策を重視しましたが、義父や義兄が敗れたブルガリアのクルムとの戦いに敗北し、その立場は大きく揺らぎました。国内では反乱の兆しが見え始めたため、ミカエルは退位を決意し、ニケフォロス朝はわずか11年で断絶しました。

ニケフォロス朝皇帝一覧

ニケフォロス1世（802年 - 811年）
スタウラキオス（811年）
* ミカエル1世ランガベー（811年 - 813年）

ニケフォロス朝は、その短い期間に、帝国の混乱と衰退を象徴するような王朝でした。その後の東ローマ帝国は、新たな王朝によって再建されていくことになります。

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