ニコライ・ドレジャーリ

ニコライ・アントノヴィチ・ドレジャーリについて

ニコライ・アントノヴィチ・ドレジャーリ（Nikolay Antonovich Dollezhal）は、1899年10月27日にザポリージャ州オメルニクでチェコ系移民の家庭に生まれ、2000年11月20日にその生涯を閉じた。彼はソビエト連邦で原子爆弾開発プロジェクトの重要な技術者として知られ、特に原子炉設計において数多くの成果を残した人物である。

学歴と初期の職歴

ドレジャーリは1923年にバウマン記念モスクワ国立工科大学を卒業後、さまざまな設計局での経験を積んだ。彼のキャリアは順調に進んでいたが、1929年、ヨーロッパ周遊からの帰国後に逮捕され、1932年までの1年半を投獄されることとなった。この出来事は彼の人生に影を落としたが、出所後は重要な工場の指導を行い、技術者としての地位を確立していく。

ソ連の核開発と重要な業績

1943年にはモスクワにて新しい化学機械研究所の責任者に任命され、1946年からは同研究所がソ連の核開発計画を担うことになった。その中で彼は初の原子炉であるA型およびAI型の黒鉛炉を設計した。この黒鉛炉は、1949年に行われたソ連初の核実験RDS-1のためのプルトニウム生産に寄与した。

1950年代以降、ドレジャーリは原子力のさまざまな応用に取り組み、特に舶用動力としての原子炉開発に注力した。1954年には世界初の民用原子力発電所であるオブニンスク原子力発電所に彼の設計が採用され、同年には潜水艦用軽水炉の設計も行った。このように、彼は工業界において重要な貢献を果たしていく。

加圧水型原子炉の設計

ドレジャーリは、加圧水型原子炉の概念を追求した先駆者としても知られる。彼の手掛けた多くの軍用及び民間用の原子炉設計は、現代の原子力産業における基本的なモデルとなっている。1957年には商業用発電を行いつつも兵器級プルトニウムを生産できる最初のデュアルユース炉であるEI型原子炉を開発し、これが採用されたベロヤルスク原子力発電所は、彼の設計の成功例の一つである。

栄誉と名声

ドレジャーリの業績は非常に高く評価されており、彼は数多くの賞を受賞した。その中にはレーニン賞、スターリン賞、ソビエト連邦国家賞、社会主義労働英雄などが含まれる。特に、彼が受賞したレーニン勲章は6回に及ぶ。また、2000年にはロシア科学アカデミーからクルチャトフ金メダルも授与されている。

さらに、彼にちなんで命名された小惑星10261 Nikdollezhal'は、1974年に発見され、2003年に正式名称が認定された。

結び

ニコライ・アントノヴィチ・ドレジャーリは、原子力技術の発展に多大な貢献をした人物であり、彼の業績は今日のエネルギー政策や核技術の基盤となっている。彼の生涯は、科学技術の進歩と人類への貢献の象徴として語り継がれていくだろう。

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