ニコライ・ネクラーソフ

ニコライ・アレクセーヴィチ・ネクラーソフ

ニコライ・アレクセーヴィチ・ネクラーソフ（1821年12月10日 - 1878年1月8日）は、ロシアの詩人であり、帝政ロシア時代の重要な文筆家の一人です。彼はポジーリ県、現在のウクライナに生まれ、落ちぶれた地主の家庭で育ちました。若い頃は、軍隊に従事するのではなく、ペテルブルクで大学の聴講生として学びましたが、この選択は彼に家庭からの支援を断たれることを意味しました。その後、家庭教師や文筆活動を通じて生活を支えていくことになります。

1832年に入学したギムナジージャでは教育を受けたものの、彼は第5年級で中退し、1836年に雑誌『祖国の子』に初めて詩を発表しました。その後、1840年に自費で出版した詩集『空想とひびき』は、ロマン主義の影響を受けた内容であったため、批評家のベリンスキーから否定的な意見を受けましたが、この友人関係を通じてロシア社会の厳しい現実に目覚めていきました。

1846年には、ロシアの農奴制を批判する内容を含む詩『旅にて』を発表し、これがベリンスキーやアレクサンドル・ゲルツェンに絶賛されるきっかけとなりました。その後も、彼は様々な文集を編集し、1847年にはプーシキンが創刊した雑誌『同時代人』の発行者となりました。この雑誌は、後に革命的民主主義の思想を反映する重要な文献として広まり、彼自身も文学の巨匠や批評家たちとともに活動しました。

1866年に『同時代人』が発行禁止となった後、ネクラーソフは『祖国の記録』の発行権を買収し、死ぬまでこの雑誌の編集を続けました。彼の晩年は、社会主義に接近したリベラル派や革命的思想を持つ人々との間で意見の不一致に苦しむことが多くなりました。ネクラーソフの作品は、社会に対する詩人の責任感が色濃く反映されており、農民への親近感を典型として、彼の詩は現実の不正に抗議する形式が多く見られます。

彼はナロードニキに特に愛され、多くの後進に影響を与えました。マヤコフスキーやエフトゥシェンコといった後の世代の詩人たちにもその影響は見受けられます。ネクラーソフの詩に対する批評は、アレクサンドル・ボロディンやモデスト・ムソルグスキーによって音楽化され、今もなお多くの人々に歌われています。

代表作品

• - かりそめの騎士 (1862年)
• - 農民の子 (1864年)
• - 小間物屋 (1861年)
• - 赤鼻のマロース (1863年)
• - おじいさん (1870年)
• - デカブリストの妻 (1873年)
• - 誰にロシアは住みよいか (1876年)

ネクラーソフの作品は、単に文学的な価値だけでなく、社会的なメッセージをも内包しており、彼の詩は今日でもロシア文学の重要な一部とされています。彼の詩に対する情熱と、社会への真摯な批判は、時代を超えて多くの人々に影響を与え続けています。

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