ニジェール民主社会主義党

ニジェール民主社会主義党（PNDS）：ニジェールの左派政党

ニジェール民主社会主義党（PNDS）は、ニジェールの左派政党であり、フランス語ではParti Nigerien pour la Democratie et le Socialismeと表記され、PNDSと略されます。党名にTarayyaと付記されることもあります。ニジェール中部のタウア州を主要な支持基盤とし、社会主義インターナショナルに加盟しています。

設立と初期の党勢

PNDSは、軍政の流れを汲む与党、社会発展国民運動（MNSD）に対抗するため、1990年12月23日にマハマドゥ・イスフらによって結成されました。1993年2月の議会選挙では、イスフの出身地であるタウア州からの支持を受け、83議席中13議席を獲得しました。翌月の大統領選挙では、与党MNSDに対抗する野党連合、変革勢力同盟（AFC）の一員として参加し、MNSDのタンジャ・ママドゥ候補を破り、AFCの主導的立場にあった民主社会会議（CDS）のマハマヌ・ウスマン候補が勝利しました。PNDSのAFCへの参加は、AFCが議会で多数派を形成する上で重要な役割を果たし、同年4月17日には、イスフがウスマン大統領によって首相に任命されました。

MNSDとの協力と1995年クーデター

1994年9月21日、ウスマン大統領は自身の権限拡大を図り、同年9月28日にイスフを首相から解任しました。後任にはCDSのスーレイ・アブドゥライが任命されましたが、PNDSはAFCの首相候補はイスフ以外にありえないとしてウスマン大統領の決定に反発し、AFCを離脱しました。これにより、AFCは議会の多数派を維持できなくなり、ウスマン大統領は議会運営で困難に直面することになりました。その後、PNDSは結党以来の反MNSDの姿勢を転換し、MNSDと新たな野党連合を結成しました。しかし、PNDSの有力幹部であったアジ・キルガムやマズー・イブライムは、この決定に反発してPNDSを離党しました。

AFCが議会で多数派でなくなったことを受け、1995年1月に議会選挙が実施されました。PNDSとMNSDの連合は、他の2つの小政党と共にこの選挙で多数派となる議席を獲得し、MNSDのハマ・アマドゥが首相、PNDSのイスフが議会議長に就任しました。これにより、ウスマン大統領とアマドゥ首相によるコアビタシオンが成立し、両者は激しく対立、政局は混乱しました。そのような状況下で、1996年1月には、軍のイブライム・バレ・マイナサラ陸軍参謀長によるクーデターが発生しました。このクーデターにより、マイナサラを委員長とする軍事政権、救国委員会が成立し、救国委員会はウスマン大統領、アマドゥ首相を解任、憲法と議会を停止し、イスフの議会議長の職も解きました。

最大野党へ

1996年1月に実施された大統領選挙では、救国委員会のマイナサラが1位、CDSのウスマンが2位、MNSDのママドゥが3位となり、イスフは4位に終わりました。この結果に不満を抱いたPNDSは、同年11月の議会選挙をボイコットしました。この間、PNDSはMNSDとの連合を解消し、他の左派系小政党と共に野党連合、民主防衛復興戦線を結成しました。

1999年4月、大統領警護隊のダオダ・マラム・ワンケ隊長によるクーデターが発生し、ニアメのディオリ・アマニ国際空港でマイナサラ大統領が殺害され、国家和解評議会と称する軍事政権が成立しました。国家和解評議会は大統領と首相の権力分担を定めた新憲法案を作成し、新憲法案は同年7月に国民投票で承認されました。これに伴い、10月には新憲法に基づく大統領選挙が実施され、PNDSもイスフを擁立し参加しました。第一回投票で22.79%の票を獲得する躍進を遂げましたが、決選投票でMNSDのママドゥに惜敗しました。しかし、同時に行われた議会選挙では、83議席中16議席を獲得し、最大野党の地位を獲得しました。

2004年11月16日の大統領選挙では、イスフは24.6%の得票で第一回投票を通過しましたが、12月4日の決選投票で再びMNSDのママドゥに敗れました。決選投票と同時に行われた議会選挙では、PNDSは113議席中17議席を獲得し、PNDSと連合を組む他の小政党の獲得した8議席を含めて、引き続き最大野党として活動することとなりました。

政権掌握

2010年に軍事クーデターが発生し、2011年3月12日に民政移管のための大統領選挙が実施され、イスフが当選しました。そして、4月7日に第6代大統領に就任し、PNDSはついに政権を掌握しました。

関連項目

* 国民議会 (ニジェール)

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