ニック・スウィッシャー

ニコラス・スウィッシャー：愛されたスイッチヒッターの軌跡

ニコラス・トンプソン・スウィッシャー（Nicolas Thompson Swisher, 1980年11月25日 - ）は、アメリカ合衆国オハイオ州コロンバス出身の元プロ野球選手です。内野手、外野手として活躍し、左投両打という珍しいプレースタイルでファンを魅了しました。父も元メジャーリーガーという野球一家に育ち、妻は女優のジョアンナ・ガルシアです。

オークランド・アスレチックスでの躍動

2002年のMLBドラフトでオークランド・アスレチックスから1巡目指名を受けプロ入り。2004年にメジャーデビューを果たします。2005年には右翼手のレギュラーに定着し、打率こそ低迷したものの、新人最多タイの21本塁打を放ち、その才能の片鱗を見せました。

2006年には、打率.254、35本塁打、95打点と、打撃3部門で自己最高の成績を記録。97四球、152三振と、選球眼の良さと積極的な打撃が光りました。左右打席で異なる打撃スタイルを持ち、左打席では豪快なアッパースイング、右打席では広角に打ち分ける技術を見せ、対左打率も向上させました。

ホワイトソックス、そしてヤンキースへ

2008年にはシカゴ・ホワイトソックスへ移籍。一塁、中堅、外野と様々なポジションをこなしましたが、打率は低迷。同年オフには、ニューヨーク・ヤンキースへトレードで移籍します。

ヤンキースでは、2009年に控えからのスタートでしたが、レギュラーの故障により出場機会を得ると、そのチャンスを活かして活躍。4月には、大差のついた試合でプロ初の投手として登板し、話題となりました。最終的にはリーグ2位の97四球、自己最高のOPS.869を記録し、ワールドシリーズ優勝も経験しました。2010年には、オールスターゲームに初選出され、2年連続で29本塁打を放つなど、キャリアハイの成績を残しました。

インディアンス、ブレーブスでの苦悩

2012年オフには、クリーブランド・インディアンスと大型契約を結びました。しかし、2014年以降は打撃不振に苦しみ、2015年にはアトランタ・ブレーブスへ移籍。かつての輝きを取り戻すことはできませんでした。

ヤンキースへの復帰、そして引退へ

2016年には、古巣ニューヨーク・ヤンキースとマイナー契約を結びましたが、メジャー昇格は叶わず、同年シーズン中に家族との時間を優先するため、現役引退を決意しました。

引退後

引退後は、ヤンキースGM特別アドバイザーに就任し、2023年8月にはベースボール・ユナイテッドの共同オーナーとして新たなキャリアをスタートさせています。

プレースタイルとエピソード

スウィッシャーは、珍しい左投げのスイッチヒッターとして、長打力と選球眼を兼ね備えていました。一方で、打率や得点圏打率は課題も残りました。また、ポストシーズンでは力を発揮しきれない一面もありました。

MLB史上最多タイ記録となる1試合左右打席本塁打を14度記録しています。また、左胸には亡くなった祖母のイニシャル『BLS』のタトゥーを彫っており、本塁打を放った際には天国の祖母へ向けて両手を挙げるポーズがトレードマークでした。

ニコラス・スウィッシャーは、その明るいキャラクターと記憶に残るプレースタイルで、多くのファンに愛された選手でした。

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