ニットエイト

ニットエイトの概要

ニットエイトは、1964年に生まれ、1976年まで現役として活躍した日本の競走馬です。彼は1967年の第28回菊花賞と1968年の第58回天皇賞（秋）で栄冠を手にし、名馬としての地位を確立しました。馬名の表記については、デビュー当初は促音・拗音の使用が禁止されていた関係で「ニツトエイト」と記されていましたが、その後の規制緩和により現在の表記に改められました。

誕生と育成

ニットエイトは1929年、胆振に開かれた飯原農場で生まれました。馬主の飯原盛作は、血統に対する独自の考え方を持つ牧場主として知られています。彼は、血統よりもトレーニング重視の育成方針を取っており、その影響で多くの優秀な競走馬を領出しました。ニットエイトの父はガーサント、母は天皇賞馬シーマーを持つトモサンであり、競走馬としてのポテンシャルは高いものでした。しかし、ニットエイトは幼少期に慢性の下痢を抱えており、その対策として尻尾を根元から切ったため、見た目に難があり、当初は市場で売れ残ることになりました。

競走成績

デビューは1966年11月6日、当時無名の矢倉玉男調教師のもとで行われました。このレースで勝利を収めたものの、しばらくは勝利に恵まれず、春のクラシック競走には縁がなかったニットエイト。しかし、翌1967年に入ると徐々に力をつけ、ダービーの前日には2勝目を挙げました。その後、函館でのレースではダービー馬キーストンに対しレコード勝ちを収め、夏にはセントライト記念で2着となりました。

菊花賞に挑んだのは、1967年11月12日のこと。レース当日は重馬場で、ニットエイトはメディアやファンから9番人気という低評価に甘んじていました。しかし、騎手の伊藤竹男は「勝ちますから、ぜひ見に来てください」と馬主に電話を入れる自信を見せました。結果、ニットエイトは見事に勝利し、矢倉厩舎からの驚きのワンツーフィニッシュとなりました。

翌1968年には古馬となったニットエイトが天皇賞（秋）に挑戦しました。このレースでも6番人気ながら、強敵フイニイを圧倒してレコードタイムで優勝し、さらなる名声を獲得しました。その後も競走を続けましたが、残念ながら有馬記念のタイトルを獲得することはできず、1969年の有馬記念で5着となり、引退を迎えました。

引退後の生活

引退後、ニットエイトはガーサントの後継種牡馬として期待されましたが、気性難と競走馬生産地の主力から外れたため、思うような結果を残すことができませんでした。ニットエイトは九州で種牡馬生活を開始し、その後も移動を繰り返しながら、長い間苦労をし続けました。最終的に、彼は肺炎が原因で13年の生涯を終え、地元の胆振の牧場にて静かに過ごすこととなりました。

血統と歴史

ニットエイトの5代母であるパシフイツク（競走馬名クヰンフロラー）は、1926年の帝室御賞典勝ち馬の血を引いています。その牝系をさらに遡ると、小岩井農場が基礎輸入した牝馬の一頭、プロポンチスに辿り着きます。

ニットエイトの物語は、彼の生涯を通じて見るべき競走馬として、多くの競馬ファンに語り継がれることでしょう。

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