ニャック・ポアン

ニャック・ポアン：アンコール遺跡群に浮かぶ癒しの寺院

ニャック・ポアン（Neak Pean）は、カンボジアのアンコール地域に位置する、12世紀後半にジャヤーヴァルマン7世によって建立された仏教寺院です。その名称は、寺院の基壇を取り囲むナーガ（蛇）の彫刻に由来し、「絡み合うヘビ」を意味します。この寺院は、プリヤ・カーン・バライという貯水池の中央にある人工島に建てられており、当時としては非常にユニークな構造をしていました。

象徴的な構造

ニャック・ポアンは、中心に大きな円形の基壇を持つ人工池が特徴です。この基壇の上には中央祠堂があり、その周りをナーガの彫刻が囲んでいます。ナーガは東側で分かれ、西側で尾を絡ませる形で表現されており、その造形は非常に印象的です。また、この寺院は、ヒマラヤ山脈にあるとされる架空の湖、アナヴァタプタを象徴しているという説もあります。アナヴァタプタは、その水が万病を癒すと信じられていました。

医療施設としての役割

ニャック・ポアンは、当初、医療目的のために設計されたと考えられています。ジャヤーヴァルマン7世が建立した多くの病院の一つであり、古代ヒンドゥー教のバランスの概念に基づいています。古代の人々は、この池で沐浴することで自然の要素のバランスを整え、病気を治癒できると信じていました。池は水、土、火、風の四つの要素を象徴しており、それぞれの要素は、四方に配置された4つの癒しの池に繋がっています。これらの池は、中央の主水槽から石の水路を通して水が供給されています。

四大獣と水路

各池には、四大獣（ゾウ、ライオン、ウマ、ウシ）を象徴する石の樋口が設けられています。これらの動物はそれぞれ、北、南、西、東の方向をつかさどるとされています。ただし、東側の樋口は例外で、牛の代わりに人の頭部が彫られています。

バラーハの彫像

中央の池の東側には、観音菩薩が化身した馬、バラーハの彫像が設置されています。バラーハは、人食い鬼女から逃れる船乗りたちを救おうとする姿を表現しており、当時の人々の信仰心を伝えています。この彫像は、発見された際は破壊された状態でしたが、1920年代にフランス極東学院によって部分的に修復されました。

まとめ

ニャック・ポアンは、その美しいデザインと宗教的な背景、そして医療施設としての役割を持つ、非常に興味深い遺跡です。アンコール遺跡群の中でも特にユニークな存在であり、訪れる人々に深い感動を与え続けています。

参考文献

アンコール遺跡
バライ

外部リンク

* (関連する外部リンクは必要に応じて追加してください)

画像

(ここに画像のキャプションなどを入れることができます。)

もう一度検索