フランス極東学院

フランス国立極東学院 (EFEO)

概要

フランス国立極東学院（École française d'Extrême-Orient、EFEO）は、フランス高等教育研究省直轄の公共研究機関です。東南アジア、東アジア、南アジアといった極東地域からインドにかけての文明研究を主な任務とし、フランス東洋学の伝統を継承しています。パリに本部を置き、京都、ポンディシェリ、ジャカルタなどアジア各地に研究拠点を展開。人類学、考古学、建築学、歴史学、美術史、言語学、哲学、碑文研究など、幅広い分野の約40名の専門家が所属し、活発な研究活動を行っています。

歴史

EFEOの起源は、1898年に仏領インドシナ総督ポール・ドゥメールによってサイゴンに設立されたインドシナ考古調査団に遡ります。1900年にフランス極東学院と改称し、1901年にはハノイに移転。インドシナ総督府直属機関として、図書館や博物館としての機能に加え、1907年からはアンコールワットの修復保全事業も担いました。

第二次世界大戦後、フランスのインドシナ撤退（1957年）に伴いハノイを離れ、カンボジア情勢の悪化（1972年）によりアンコールワットからも拠点が移転しました。1968年以降はパリに本部を置きつつ、1950年代からインドのポンディシェリ、インドネシアのジャカルタに永続的な研究センターを設置。その後も、タイ、マレーシア、香港、カンボジア、台湾、ベトナム、日本などアジア各地に研究拠点を拡大し、現在に至ります。

日本の拠点

日本においては、1968年に京都に「法宝義林研究所」を開設、その後「フランス国立極東学院 京都支部」と改称。2014年には京都市左京区に新たなセンターを建設、移転しました。2018年にはイタリア東方学研究所が同センター内に移転し、共同の図書室も設置されています。また、1994年からは東京の東洋文庫内に東京支部を設置し、研究活動を展開しています。

研究活動

EFEOは、長年にわたって、東南アジア、東アジア、南アジアの文化遺産の調査、研究、保存に貢献してきました。アンコールワットの修復事業はその代表例です。その研究活動は、考古学調査、文献研究、言語研究、美術史研究など多岐に渡り、多くの重要な成果を挙げています。

著名な研究者

EFEOには、これまで数多くの著名な研究者が所属してきました。例えば、敦煌文献を紹介したポール・ペリオ、チャンパ王国研究で知られるGeorges Maspero、そして東南アジア史研究に多大な影響を与えたジョルジュ・セデスなどが挙げられます。現在、京都支部長にはクリストフ・マルケが駐在しています。

組織

EFEOは、フランス高等教育研究省の傘下にある公共研究機関であり、学術的な独立性を持ちながら、フランス政府からの支援を受けて研究活動を推進しています。パリの本部以外に、アジア各地に多くの研究拠点を持ち、国際的な研究ネットワークを構築しています。

今後の展望

EFEOは、今後もアジアの文化遺産の研究と保存に貢献していくため、国際協力の強化、研究拠点の拡充、若手研究者の育成などに取り組んでいくものと予想されます。


参考文献

藤原貞朗『オリエンタリストの憂鬱 植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学』めこん、2008。ISBN 978-4-8396-0218-5
Ngô Thế Long & Trần Thái Bình. Học viện Viễn Đông bác cổ: Giai độan 1898-1957. Hà Nội: Nxb Khoa học Xã hội, 2009.

外部サイト

フランス国立極東学院公式サイト（フランス語及び英語）
Chercheurs d'Asie（歴代所属所員紹介）
* フランス国立極東学院公式サイト・京都支部（フランス語及び英語）

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