ニャルブイェ大虐殺

ニャルブイェ大虐殺：ルワンダの悲劇

ニャルブイェ大虐殺は、1994年4月15日から16日にかけてルワンダのニャルブイェで発生した、ルワンダ虐殺における最も凄惨な事件の一つです。この事件では、ツチ族と穏健派のフツ族、およそ2万人が命を奪われました。

事件の背景

1994年4月6日、フツ族出身のジュベナール・ハビャリマナ大統領とブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領が搭乗した航空機が撃墜され、両名が死亡するという事件が発生しました。この事件をきっかけに、フツ族過激派によるツチ族への襲撃がルワンダ全土で激化しました。

フツ族過激派民兵組織インテラハムウェは、ツチ族や穏健派のフツ族を標的に暴行や虐殺を繰り返しました。この状況は4月から6月まで続き、わずか3ヶ月の間に、ルワンダの人口の約10%にあたる50万人から93万7千人もの人々が犠牲となりました。また、女性に対する組織的な性的暴行も横行し、25万人から50万人の女性や少女が強姦され、2千人から5千人が妊娠させられたとされています。

大虐殺の発生

首都キガリをはじめとする主要都市でフツ族過激派による襲撃が相次ぐ中、キガリから東へ約140キロに位置するニャルブイェに住むツチ族や穏健派フツ族は、身の危険を感じ避難場所を求めていました。フツ族出身の市長、シルヴェストル・ガチュンビチは、避難先としてニャルブイェカトリック教会を勧めました。

多くの人々が教会に避難しましたが、4月15日、市長はフツ族過激派や市民を率いて教会に現れ、避難民を襲撃し、殺害、略奪を行いました。フツ族過激派は、槍やナタ、手榴弾、自動小銃などを用いて、老若男女を問わず虐殺を実行しました。生存者の証言によると、襲撃者たちは被害者が逃げられないよう、足などを切断し、一晩放置した後、翌日に再び殺害を続けたということです。

虐殺は翌16日まで続き、最終的に約2万人が殺害されました。ニャルブイェの地は、無数の命が奪われた悲劇の場所となりました。

虐殺後の裁判

2003年12月3日、キブンゴ県の裁判所は、この大量虐殺事件で重要な役割を果たした18人の被告に対し有罪判決を下しました。虐殺の中心人物であったギテラ・ルワムヒジには当初、無期懲役が宣告されましたが、後に有罪を認めたことで懲役25年に減刑されました。残りの17人には、7年から16年の懲役刑が言い渡されました。

ニャルブイェ大虐殺は、ルワンダ虐殺の悲劇を象徴する出来事として、歴史に深く刻まれています。



参考文献
フィリップ・ゴーレイヴィッチ 著、柳下毅一郎 訳『ジェノサイドの丘〈上〉 ルワンダ虐殺の隠された真実』WAVE出版、2003年6月
フィリップ・ゴーレイヴィッチ 著、柳下毅一郎 訳『ジェノサイドの丘〈下〉 ルワンダ虐殺の隠された真実』WAVE出版、2003年6月

外部リンク
* Ghosts of Rwanda - Public Broadcasting ServiceのFrontlineエピソードのスクリプト

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