ジュベナール・ハビャリマナ

ジュベナール・ハビャリマナ：ルワンダの悲劇を象徴する大統領

ジュベナール・ハビャリマナ（1937年3月8日 - 1994年4月6日）は、ルワンダの軍人・政治家であり、フツ出身の第3代大統領として知られています。彼は「無敵」（キニヤルワンダ語で「キナニ」）という異名を持ち、その生涯はルワンダの激動の歴史を色濃く反映しています。

生涯と権力掌握

キガリの士官学校を卒業後、ハビャリマナはベルギー人将校の副官となります。ルワンダ独立後の1963年には国民防衛軍の司令官に就任し、軍人としてのキャリアをスタートさせました。1964年には大尉に昇進、1965年には国防警察相に任命されるなど、着実に地位を確立していきます。

1973年7月5日、ハビャリマナはクーデターによりグレゴワール・カイバンダ大統領を打倒し、政権を掌握しました。フツ解放運動党を抑圧し、自身が率いる開発国民革命運動 (MRND) による独裁体制を築き上げました。

内戦と対立

1990年以降、ルワンダ愛国戦線 (RPF) との内戦が開始されると、事態は深刻化します。RPFが北部を占拠する中、ハビャリマナはRPFがツチ系であるとして対立を深めました。1993年には和平協定が結ばれますが、両者の対立は解消されることはありませんでした。

暗殺とルワンダ虐殺

1994年4月6日、ハビャリマナが搭乗したダッソー ファルコン 50がキガリ国際空港上空でミサイル攻撃を受け、撃墜されました。この時、ブルンジのフツ系大統領であるシプリアン・ンタリャミラも同乗しており、共に死亡しました。この事件は、ルワンダにおける支配的な少数派であるツチと多数派であるフツとの間の対立を激化させ、ルワンダ虐殺の直接的な引き金となりました。

政策と経済

ハビャリマナは当初、フツとツチの融和を掲げ、コーヒー豆を主軸とする価格の高騰の恩恵を受け、ルワンダ経済を発展させました。しかし、1980年代にはコーヒー豆の価格が暴落し、経済は破綻。ジニ係数も年を追うごとに高くなり、貧富の差が拡大しました。この経済崩壊は、紛争、そして虐殺の要因の一つとなり、虐殺時の頭脳流出といった出来事で更に加速しました。

ジュベナール・ハビャリマナの生涯は、ルワンダの政治的・社会的な複雑さを浮き彫りにしています。彼の死後、ルワンダは未曽有の悲劇に見舞われましたが、その経験を乗り越え、現在では復興への道を歩んでいます。

関連項目

ハビャリマナとンタリャミラ両大統領暗殺事件
ルワンダ虐殺

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