ニャンニャン事件

ニャンニャン事件とは

1983年（昭和58年）に発生した、芸能界を揺るがす一大スキャンダル。当時人気絶頂だった未成年の女性アイドル、高部知子のプライベート写真が写真週刊誌『FOCUS』に掲載されたことに端を発します。この事件は、単なる芸能人のスキャンダルを超え、社会現象にまで発展しました。

事件の概要

当時15歳だった高部知子は、テレビ朝日のバラエティ番組『欽ちゃんのどこまでやるの!』で「萩本家の愛娘」役を演じ、お茶の間の人気者でした。また、『積木くずし～親と子の200日戦争』では主人公役を演じるなど、若手女優としても注目を集めていました。

そんな彼女の、ベッドで裸体に布団を掛け、煙草を咥えた写真が『FOCUS』に掲載されます。所属事務所は写真が高部本人であることを認め、世間に衝撃が走りました。写真は性行為を連想させるものであり、未成年である高部の喫煙も問題視され、スキャンダルとして大きく報道されました。

事件の影響

高部はレギュラー出演していた番組やラジオ番組を降板。主演予定だった映画も降板し、CMも打ち切られました。通っていた高校も無期停学処分となり、芸能活動は謹慎を余儀なくされました。

写真を『FOCUS』に持ち込んだのは、高部と交際していた18歳の少年でした。少年は金銭目的ではなく、自身を守るために写真を持ち込んだと語っています。しかし、その後、少年は自殺。事件はさらに悲劇的な様相を呈しました。

「ニャンニャン」という言葉の流行

『FOCUS』の記事では、問題の写真を「ベッドで二人仲良くニャンニャンしちゃった後の、一服である」と紹介。「ニャンニャン」という言葉は性行為を暗示する言葉として広まり、当時の流行語となりました。人気テレビ番組『夕やけニャンニャン』の番組名も、この言葉に由来すると言われています。

事件をめぐる証言

『FOCUS』は記事中で、写真を持ち込んだ少年が「高部は性行為の経験は豊富だったようだ」と証言したことを掲載。一方、高部知子は自著で、写真は遊びで撮ったものであり、性行為はなかったと反論しています。

事件後

高部は番組で謝罪しましたが、元交際相手の少年の自殺後、番組を降板。「わらべ」からも除名され、萩本欽一からも破門されるという厳しい処分を受けました。一方、『FOCUS』は部数を大きく伸ばし、写真週刊誌としての地位を確立しました。

「ニャンニャン事件」は、未成年アイドルのスキャンダルが社会に与える影響の大きさを物語る出来事として、今もなお語り継がれています。また、この事件を機に、芸能週刊誌の報道姿勢やプライバシーの問題が、社会的に議論されるようになりました。

高部知子さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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