ニューオーリンズ級重巡洋艦

ニューオーリンズ級重巡洋艦

ニューオーリンズ級重巡洋艦は、アメリカ海軍が建造した条約型重巡洋艦です。アストリア級重巡洋艦とも呼ばれ、ロンドン軍縮条約締結後に建造された重巡洋艦の第二弾にあたります。1929年度計画で3隻、1930年に2隻、1933年に2隻、計7隻が計画され、1930年から1937年にかけて竣工しました。

概要

本級は、先行するポートランド級をベースに設計されました。主な武装は、55口径8インチ3連装砲3基と25口径5インチ単装砲8基で、船首楼型の二本煙突が特徴です。ポートランド級からの主な変更点としては、乾舷を低くし、船首楼を艦尾方向に延長したことで、居住性と復元性が向上しました。また、二本の煙突の間隔を狭め、煙突と後楼の間に艦載機設備を設けたことで、設備の拡張が可能になりました。船体寸法は若干縮小され、艦橋や構造も縮小化された結果、区画防御の観点からはポートランド級を凌駕する防御力を獲得しました。しかし、機関砲や機関銃が減ったため、対空戦闘能力は低下しました。

艦歴

太平洋戦争が開戦すると、「タスカルーサ」を除く全艦が太平洋戦線に投入されました。珊瑚海海戦やミッドウェー海戦にも参加しましたが、1942年8月8日の第一次ソロモン海戦では、「アストリア」「クインシー」「ヴィンセンス」を含む米艦隊が、日本海軍の砲雷撃により壊滅的な損害を受け、この3隻は沈没してしまいました。

約2ヶ月後のサボ島沖海戦では、「サンフランシスコ」が旗艦を務める艦隊が、レーダー射撃により日本艦隊に打撃を与え、「古鷹」などを撃沈しました。その約1ヶ月後の第三次ソロモン海戦では、「サンフランシスコ」が再び旗艦を務めましたが、戦艦「比叡」と「霧島」を含む日本艦隊の砲撃を受け、大損害を被りました。しかし、何とか持ち堪え、アメリカ本土で修理を受けました。

さらにその半月後のルンガ沖夜戦では、「ニューオーリンズ」と「ミネアポリス」を含む米艦隊が、日本海軍第二水雷戦隊をレーダーで早期に探知し、警戒艦に集中砲火を浴びせましたが、日本艦隊の反撃により、「ニューオーリンズ」は1本、「ミネアポリス」は2本の魚雷を受け、艦首を失う大損害を被りました。両艦は離脱に成功しましたが、南太平洋海戦で日本海軍が母艦航空戦力を失っていたことが幸いしました。「ニューオーリンズ」はシドニーで応急修理後、アメリカ本国で本格的な修理を行い、「ミネアポリス」はツラギ島沖での応急修理後、ニューカレドニアで修理を受けました。

このように損害を受け続けたニューオーリンズ級でしたが、日本軍はガダルカナル島からの撤退を決定するなど、戦略的にはその働きが無駄ではなかったと言えるでしょう。「サンフランシスコ」はアッツ・キスカ攻略作戦に参加し、修理を終えた「ニューオーリンズ」と「ミネアポリス」はギルバート・マーシャル諸島攻略、マリアナ諸島攻略、レイテ島上陸支援に参加しました。

一方、「タスカルーサ」は大西洋で船団護衛やトーチ作戦、オーバーロード作戦などに参加した後、オーバーホールを行い、1945年に太平洋戦線に転じ、「サンフランシスコ」とともに硫黄島攻略に参加しました。沖縄諸島攻略作戦には、残存していた全艦が参加しました。

終戦後は、哨戒任務や復員支援に従事し、1947年に退役しました。初期の水上戦闘部隊の中核を担ったニューオーリンズ級ですが、朝鮮戦争やベトナム戦争に駆り出されることなく、1959年に全艦が廃棄されました。

同型艦

ニューオーリンズ (USS New Orleans, CL/CA-32)
アストリア (USS Astoria, CA-34)
ミネアポリス (USS Minneapolis, CA-36)
タスカルーサ (USS Tuscaloosa, CA-37)
サンフランシスコ (USS San Francisco, CA-38)
クインシー (USS Quincy, CA-39)
ヴィンセンス (USS Vincennes, CA-44)

脚注

関連項目

ニューオーリンズ級防護巡洋艦

外部リンク

Global Security.org - New Orleans class cruiser
Global Security.org - New Orleans class cruiser specifications

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