ニューメキシコ (戦艦)

アメリカ海軍戦艦「ニューメキシコ」（BB-40）

「ニューメキシコ」は、アメリカ海軍が建造したニューメキシコ級戦艦のネームシップであり、その艦名はアメリカ合衆国ニューメキシコ州に由来します。本艦は、第一次世界大戦型旧式戦艦群の最終版として位置づけられ、その設計には当時の最新技術が投入されました。

艦の特徴

竣工当初、「ニューメキシコ」は前級と同様に前後檣が籠マスト構造でしたが、1930年代にはイギリス海軍のネルソン級戦艦で採用された箱型大型艦橋の情報を得て、独自の近代化改装を実施。これにより、同型艦とは一線を画す外観を持つようになりました。また、推進機関には同級の他の2隻とは異なるターボ・エレクトリック方式が採用され、これにより他の戦艦よりも若干速い速力を実現し、対空兵装も強化されました。

艦歴

1915年10月14日、ニューヨーク海軍工廠で起工された「ニューメキシコ」は、1917年4月13日に進水。1918年5月20日には初代艦長アシュレイ・H・ロバートソン大佐の指揮下で就役しました。就役後、「ニューメキシコ」はパリ講和会議に出席するウッドロウ・ウィルソン大統領が乗船する「ジョージ・ワシントン」の護衛として、フランスのブレストへ向かいました。

その後、太平洋艦隊の旗艦となり、太平洋とカリブ海で訓練を重ね、1925年にはオーストラリアとニュージーランドを訪問しました。1931年から1933年にかけてフィラデルフィアで近代化改装を受け、1934年10月に太平洋艦隊に復帰しました。

第二次世界大戦での活躍

1940年12月から1941年5月まで真珠湾に在泊した後、大西洋艦隊に合流。真珠湾攻撃後には西海岸に戻り、太平洋戦線に投入されました。1942年12月から1943年3月にかけては、フィジーへの部隊輸送の護衛や南西太平洋のパトロールに従事しました。

アリューシャン列島での作戦では、アッツ島の封鎖やキスカ島への艦砲射撃に参加しました。ギルバート諸島攻略戦では、マキン環礁への砲撃を行い、輸送船団の支援と対空砲火を行いました。マーシャル諸島攻略作戦では、クェゼリン環礁やエビゼ島への砲撃に参加しました。

1944年には、マリアナ諸島への攻撃に参加し、テニアン島、サイパン、グアムへの砲撃を実施。敵の空襲にも応戦しました。その後、輸送船団の護衛任務を行い、グアム上陸作戦では、日本軍の拠点を破壊しました。

レイテ湾に到着後は、輸送船団の警護を行い、日本軍の激烈な抵抗に対して連日の砲撃を加えました。その後、ミンドロ島攻撃部隊の護衛を行い、上陸作戦を支援。続くルソン島侵攻作戦では、日本軍の特攻攻撃に遭い、艦橋に特攻機が突入し、艦長を含む多数の乗員が戦死しました。しかし、損傷にもかかわらず、砲撃は継続されました。

沖縄戦では、特攻艇を破壊するなどの活躍を見せましたが、2機の特攻機の攻撃を受け、多数の死傷者を出しました。その後、修理を行い、日本本土侵攻のための演習を行っている最中に終戦を迎え、終戦時はサイパン島に停泊していました。

戦後

終戦後、「ニューメキシコ」は占領部隊に加わり、相模湾や東京湾に入港。降伏文書調印式にも臨席しました。1946年7月19日に退役し、1947年10月13日にスクラップとして売却されました。

受章

「ニューメキシコ」は、その戦功により以下の勲章を受章しました。

第一次世界大戦戦勝記念章
アメリカ防衛従軍記章
アメリカ従軍記章
アジア・太平洋従軍章
第二次世界大戦戦勝記念章
海軍占領功労章
* フィリピン解放章

「ニューメキシコ」は、第一次世界大戦から第二次世界大戦まで、アメリカ海軍を支え続けた名艦でした。その武勲は、数々の従軍星章が証明しています。

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