ニューメディア

ニューメディアとは

ニューメディアとは、1980年代に科学技術の発展に伴い登場した、従来のテレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアとは異なる新しい情報媒体の総称です。高速度ネットワークと新型端末を介して、企業や家庭が情報を受発信することをコンセプトとしていました。1985年のつくば科学万博では、ニューメディアを体験できる場として注目を集めました。

当時の代表的な設備とサービス

キャプテンシステム（ビデオテックス）: 家庭用端末で文字や図形情報を表示するシステム。
文字放送: テレビの空きチャンネルを利用して文字情報を伝達する。
ファクシミリ放送: 新聞などの紙面情報をファクシミリで受信する。
CATV: 有線テレビ放送。
INS（高度情報通信システム）: デジタル通信網で、後にISDNとして一部実現。当時は「いったい・なにを・するの」と揶揄されました。
マイコン: 現在のパソコンの原型。
テレビ電話: 電話回線を通じて映像付きで会話できるシステム。
パソコン通信: パソコンを使ってネットワーク上で情報交換やコミュニケーションを行う。
* ホームオートメーション: 外出先から電話回線を用いて家電を遠隔操作するシステム。

ニューメディアの隆盛と衰退

ニューメディアは双方向性を謳っていましたが、端末や通信料が高額であったこと、端末の性能による制約などから、コンテンツの利便性が既存メディアを超えることができませんでした。CATV、パソコン通信、ファクシミリなど、その特性を生かせる一部のサービスを除いて、一般家庭への普及は進みませんでした。特にINSは、一部の大口顧客である企業内ネットワークでの利用にとどまりました。

1990年代に入ると、高性能パソコンや高速インターネット、携帯電話が普及し、高速な情報送受信が可能になりました。これにより、多額の投資で整備されたINSは時代遅れとなり、2000年代には光ファイバーケーブルを中心とした情報網への投資に切り替えられました。

インターネットとの比較

ニューメディアは、その理念や技術の一部が後のインターネットへと発展したとも言えます。しかし、行政主導で多額のインフラ投資を行ったにもかかわらず、コンテンツが乏しいため普及が進まなかったという教訓を残しました。対照的に、インターネットは民間主導の投資によって爆発的に発展しました。この違いは、ビジネスモデルとして魅力的な提案ができるかどうかが、技術の普及を左右することを示唆しています。

その後の展開

電電公社の後継企業の一つであるNTTドコモは、豊富なコンテンツを備えたiモードで一時日本のコンテンツ産業を席巻しましたが、スマートフォンの登場により、再び大きな変化を迫られました。スマートフォンの登場によってより多くのコンテンツに手軽にアクセスできるようになったためです。

まとめ

ニューメディアは、技術革新の初期段階における過渡的な存在でしたが、双方向性という概念は、後のインターネットの発展に大きな影響を与えました。また、技術だけでなく、コンテンツの重要性やビジネスモデルの必要性を示した事例として、現代のメディア産業にも多くの示唆を与えています。

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