ニューヨーク市地下鉄R143形電車

ニューヨーク市地下鉄R143形電車

ニューヨーク市の地下鉄で使用されるR143形電車は、通勤輸送に特化した設計が特徴です。この車両は大型車両が走行する「Bディビジョン」に対応するため、川崎重工業によって生産されました。小型車両向けのR142A形を基に開発され、運用開始前には試運転を経て、2002年2月に正式にL系統で営業運転をスタートしました。その後、2003年3月にかけて全53編成212両が投入されています。

車両外観

R143形電車は、18.5メートルのステンレス製車両であり、片側に4つの両開きドアを備えています。デザインにおいては、落書き防止のため、飾り帯が一切施されていません。前面は黒で塗装され、運転席の大きな窓を際立たせる工夫もされています。上部には走行路線を表示するLED式の表示器が設置されており、下部には衝撃を軽減するためのアンチクライマーが搭載されています。また、電気連結器付き密着連結器を採用しており、車両の連結がスムーズに行えます。

内装

この電車の内装は他のニューヨーク市地下鉄の車両と同様にFRP製で、クッションが一切ないシンプルな構造です。立ち客用の握り棒が通路中央及び座席の両端に設置されていますが、つり革は用意されていません。2020年9月以降、従来のL系統専用だった路線図式の車内案内表示装置がJ・Z系統でも使用できるように改良されており、利用者にとって利便性が向上しています。

運転・走行機器

R143形電車は、小糸工業製のタッチパネル式モニタ装置を搭載しており、運転状況や各種機器の管理を行っています。主電動機や制御器は全車がボンバルディア・トランスポーテーション製であり、台車は川崎重工業が製造したボルスタ付き空気ばね台車を用いています。これにより、安定した走行性能と快適な乗り心地を実現しています。

運用状況

基本的に2編成を連結し、8両編成でL系統を中心に運行されています。2005年には本系列を用いたワンマン運転の試験も行われましたが、商業運転には至っていません。この試験は運転の効率化を目指す取り組みの一環だったと言われています。

事故

2006年6月にはカナーシー車両基地で車両が車止めを突き破る事故が発生し、先頭車両であった8277は大破しました。この事故の影響で8277は修理のためにニューヨーク州ヨンカーズにある川崎重工の工場に留置され、編成を組んでいた8278から8280の3両も205丁目車両基地で留置が続けられました。幸い、これらの車両は修理を経て2017年12月に運行に戻ることができました。

関連項目

• - ニューヨーク市地下鉄
• - R160形・R179形: R143形を基にして製造されたニューヨーク市地下鉄の他の車両

R143形電車は乗客に快適で効率的な通勤体験を提供するために設計されており、今後の運用にも注目が集まります。

もう一度検索