ニューヨーク市地下鉄R30形電車

R30形電車について

R30形電車は、1961年から1962年にかけてセントルイス・カー・カンパニーによって製造されたニューヨーク市地下鉄の車両です。この車両は、既存のB路線のR27形の後継および補充バージョンとして設計され、160両以上が製造されました。R30形は固定編成で運用され、外観はR27形と類似している点が特徴です。

製造とバリエーション

製造されたR30形は合計320両に上り、ウェスティングハウス（WH）製の駆動車とゼネラルエレクトリック（GE）製の駆動車、さらにはR30A形と呼ばれるバリエーションが存在します。特に、動力装置は新しいソリッドステートGE SCM制御器を備えた、WH製の8412から8569号車とGE製の8250から8351号車に分かれています。

最初のR30形は1961年に運行を開始し、その後52年の長きにわたってBMT線で運用されました。1965年にはR32形の導入により、同線は改善されていきますが、R30形はそれまでの間、主要な運行を支え続けました。

塗装の変遷

R30形の塗装には多くの変更が見られます。初期はダークオリーブグリーンが用いられ、1960年代後半には明るい赤色に塗り替えられました。1980年代中盤には今度はキツネのような赤色に改装され、BMTRedbird trainsとして親しまれるようになりました。1985年から1989年にかけては、全てのGE駆動のR30形とR30A形がR27形から選ばれた赤色に再塗装されました。

退役と廃車

R30形電車の運行は1990年に突如停止され、その後の運用はむずかしくなりました。特に、エアコンの設置が難しいことや予算の問題が影響し、信頼性の低さも絡んで早期の退役を余儀なくされました。1993年には最後の旅客営業が行われ、その日付は1993年6月25日でした。残る車両は、廃車解体されることがほとんどでしたが、いくつかは特別な目的で保存されることとなりました。

保存された車両

保存されているR30形の中には、8429号や8558号のようなレール接合車に改造された車両もあれば、8506号のようにニューヨーク交通博物館に保管されている車両もあります。これらの車両の中では、特に8506号はオリジナルの塗装を保持しており、その姿は多くの鉄道ファンの目を惹きつけています。

一方で、多くのR30形は廃車解体処理され、唯一の生き残りは一部の専用車両や教育目的で使用されることになりました。最後の運行から数年後、これらの記憶はニューヨーク市の交通史の中に刻まれ、鉄道愛好家たちにとって忘れがたい存在となっています。R30形のエピソードは、シティの地下鉄史を語る上で欠かせない重要な一ページを形成しています。

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