ニューヨーク市地下鉄R62形電車

ニューヨーク市地下鉄R62形電車の詳細

概要

ニューヨーク市地下鉄では、R62形およびR62A形という2種類の通勤形電車が使用されています。これらは住民の通勤を支える重要な交通手段です。この電車は、日本の川崎重工業とカナダのボンバルディアによって製造されており、初めてのステンレス製車体と冷房装置を搭載した車両として評価されています。1983年から1987年にかけて、ニュージャージー州の港で陸揚げされた後、順次ニューヨーク市地下鉄に投入されています。

車体外観

R62形とR62A形の外観は、ステンレス製の16メートル級通勤型車体で、片側に3つの両開きドアを備えています。ステンレスの選定は、耐腐食性やグラフィティ被害の軽減といった要因から来ています。この車体は、軽量な設計の恩恵を受けており、従来の車両に比べて効率的な製造とメンテナンスが可能です。内部では、運転台が全車両に設置されており、故障時にも柔軟に運行ができるよう考慮されていますが、後の整備コスト削減により固定編成が導入されました。

内装

内装にはFRP製のバケットシートが使われており、定員利用の効率を高める狙いがあります。ただし、一部の利用者からは座席数が少なくなることに対する不満もあったため、後にベンチシートに交換された車両も存在します。これにより快適性と利便性のバランスを取る努力がされています。

運転・走行機器

R62形の電装品はゼネラル・エレクトリック社のものであり、R62A形はウェスティングハウス社が提供した機器を搭載しています。主電動機の駆動機構は当初ゼネラル・エレクトリックのものでしたが、一部車両では他社製に改造されています。

編成と運用

通常、R62形とR62A形は5両編成で運行されますが、特定の路線では3両編成が使用されることもあります。特に42丁目シャトルでは3両編成が活躍しています。運行の安定を保つために通常は2編成が連結され、トラブルに備えたシステムが整っています。

過去の事故と影響

過去には数件の重大な事故が発生しており、1991年の脱線事故では5人が死亡し、多数が負傷する事態となりました。この事故は、運転士の飲酒が直接の原因とされ、業界での運転士の安全教育に対する意識が高まる契機となりました。また、他の火災や衝突事故も発生していますが、これらの経験から現在の運行体制は改善が続けられています。

現在の状況

現在、R62形は主に4号線で運用されていますが、すでにR142Aとの交代が進んでいます。事故などで幾つかの車両は廃車となっており、現存するのは約315両です。一方、R62A形は1号線や6号線、42丁目シャトルで利用されており、今後2026年には新型車両への置き換えが予定されています。電車の進化とともに、安全性や快適性が追求され続けているのです。

附記

R62形とR62A形は、その特異な製造経緯とデザインにより、ニューヨーク市の交通インフラに欠かせない存在です。今後も安全性や効率を重視した取り組みが期待されます。

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