ニューライト (韓国)

ニューライト（New Right）

ニューライト（英：New Right、朝鮮語：뉴라이트）は、2000年前後から韓国で広がった新保守運動の一形態です。この運動は、ソウル大学名誉教授の安秉直が2006年にニューライト財団を設立したことにより、広く知られるようになりました。直訳すると「新右翼」という意味になりますが、ニューライトは既存の右翼運動とは異なる新たな理念を掲げています。

概要

この運動は、従来のウリ党を「プロレタリア民主主義」として否定し、さらに軍政の系譜を受け継ぐハンナラ党を「オールドライト」と呼んで批判します。興味深いことに、彼らは反共主義を掲げていないため、韓国共産党の成立にも反対しない立場です。安教授はカール・マルクスを評価していることでも知られています。また、オールドライトが資本の育成に重きを置き、労働者の権利や生活を軽視している点にも疑問を投げかけ、中産階級や市民活動の育成を目指しています。

さらに、ニューライトは南北統一にも冷淡な姿勢を見せており、南北交流を中止すべきだと主張しています。そして、北朝鮮が体制崩壊した際には、韓国・アメリカ・日本により共同管理するべきだとも提案しています。李栄薫は、南北が一つになることが広範な支持を受けている事例について、その根源を神話的な共同民族体説に結びつけ、ある特定の政治指導者の巧妙な操作によるものであると論じています。

植民地近代化論

最近の動きとしては、ニューライトの学者たちが「植民地近代化論」を提起しています。彼らは、植民地時代に韓国が近代化されたことを実証的に示すことを目的としていますが、日本の自由主義史観に類似していると批判されています。この理念には賛否が分かれ、批判派からは「売国奴」とされることもあります。しかし、ニューライト側は自らの主張が朝鮮の経済の歴史的な連続性を認識し、日本の植民地支配下でも朝鮮人が発展に寄与した点を強調するものだとしています。

李栄薫は、「植民地近代化論」とは収奪と差別のメカニズムに注目したものであり、日本の支配を美化するものではなく、あくまで実際の歴史を直視しようという立場だと反論しています。この主張に対し小倉紀蔵も、新たな視点として注目しつつ、その内容が親日的なものと受け取られることがあると指摘しています。

ニューライト全国連合

2005年11月にはニューライト全国連合が発足しました。この団体は、韓国の歴史に対する「報復政治」に批判的で、国家の可能性を奪うことには賛同できないという立場から、新しいビジョンを示し、健全な右派の価値を国民に広めることを目指しています。発足総会にはハンナラ党の朴槿恵代表や李明博ソウル市長が出席しました。

討論掲示板アゴラでは、2009年に「常識を作る国民ポータル運動」を開始しましたが、これに対する反発も強く、教育面では歴史教科書の左傾化に異議を唱える「代案教科書」を提案し、騒動が起きました。この教科書が一部検定を通過したりもしましたが、内容の親日性が問題視され、最終的には撤回される事例も存在しました。

まとめ

ニューライトは韓国における一連の右翼運動の中で独自の立場を持ち、さまざまな視点から歴史や社会の問題にアプローチしています。その活動は分かりやすく言えば、民主化以降の歴史を再評価し、新たな思想を広げることを目的としていますが、その過程では賛否の声が交錯しています。

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