ニュー・ビリビッド刑務所

ニュー・ビリビッド刑務所の概要

ニュー・ビリビッド刑務所（New Bilibid Prison）は、フィリピンのモンティンルパに所在し、受刑者を社会から隔離するための主要な施設です。管理運営は司法省の矯正局（BuCor）が行っており、2004年には16,747人が収容されていました。しかし、過密な収容状況が問題視され、2019年には「服役者5人に1人」が死亡する悲惨な状況に直面しています。このような状況を受け、政府は新たな地方刑務所の建設を計画中です。

歴史

最初のビリビッド刑務所は、1865年にマニラで開設され、矯正刑務所と軍事刑務所の二つに分かれていました。その後、フィリピン・コモンウェルス政府によってモンティンルパに新しい刑務所が建設されることとなり、1936年に工事が始まりました。1940年には旧ビリビッドからの役員や設備が移され、正式にニュー・ビリビッド刑務所として開設されました。

第二次世界大戦とその影響

第二次世界大戦中、この刑務所は捕虜収容所としても使用され、アメリカ兵を含む多くの捕虜が収容されました。マニラの戦いでは、アメリカ軍による解放作戦が行われ、一部の収容者は救出されましたが、戦争の悲惨さを物語る記録も残っています。

戦後の変遷

戦後、ニュー・ビリビッド刑務所は日本人戦犯を収容し、1949年には多くの死刑囚が処刑されました。また、教育や宗教活動にも力を入れ、収容者に対する支援が行われています。1980年代には、日本人戦犯の慰霊碑が設置され、特別な歴史を伝える場ともなりました。

移設計画と近未来

2014年、矯正局は新たな国立刑務所をヌエヴァ・エシハ州に移設する計画を発表し、収容者数の減少を期待しています。この移設により、収容環境が改善され、受刑者の更生にも寄与することが目指されています。

施設の特徴

ニュー・ビリビッド刑務所には、教育施設があり初等教育から職業訓練が行われています。また、屋内運動場でのスポーツ活動や手工芸も盛んで、各宗教教派による宗教活動も行われています。さらに、カタルンガン・ビレッジと呼ばれる住宅地が設けられ、司法省職員の住まいとして利用されています。

著名な収容者たち

この刑務所には多くの著名な人物が収容されており、フィリピン文学の巨匠アマド・V・ヘルナンデスや、俳優ロビン・パディーラ、戦犯として拘束された山下奉文などが名を連ねています。彼らの案件は、フィリピンの歴史と文化における重要なエピソードを形成しています。

結論

ニュー・ビリビッド刑務所は、その歴史の中で多くの変遷を経てきました。収容者たちの人権や生活環境の向上が求められる中、今後の改革にも注目が集まります。

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