ヌイグルマーZ

『ヌイグルマーZ』

『ヌイグルマーZ』は、2014年に公開された日本の特撮・アクション変身ヒーロー映画です。カルト的な人気を誇る井口昇が監督を務めました。

本作は、ミュージシャンである大槻ケンヂが率いるパンクバンド『特撮』の楽曲「ヌイグルマー」から着想を得て執筆された自身の小説『縫製人間ヌイグルマー』を原作としています。楽曲の世界観がスクリーンで独自の形で表現されています。

主人公であるぬいぐるみ戦士ヌイグルマーのキャラクターデザインには、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどで知られる鶴巻和哉と、『天元突破グレンラガン』などを手掛けたコヤマシゲトが参加しています。その斬新なデザインは、スポーツ新聞の紙面を一面で飾るほどの注目を集めました。原作小説の表紙に見られる黄色のヌイグルマーの姿も、カラーバリエーションの一つとして確認できます。

視覚的なインパクトも本作の特徴の一つです。日本映画としては異例の109体という最多のゾンビが登場します。これらのゾンビはCGではなく、全てエキストラによる特殊メイクで表現されており、その特殊メイクと特殊造型は、国内外で強烈な残酷描写に定評のある西村喜廣が担当しました。

主演を務めた中川翔子は、主人公の一人である鮎川夢子（ヌイグルマー）と、強敵であるキル・ビリーの二役を演じています。特に、自らが所有するピンク色のフェイクファーのヌンチャクを駆使したアクションシーンは、彼女の身体能力と熱演が光る見どころとなっています。

本作のキャッチコピーは、「キミを守る。ボタンの瞳にかけて」であり、ぬいぐるみというモチーフに込められた愛と戦いのテーマが示されています。

あらすじ

物語は、幼い鮎川響子の誕生日に、作家である母親から手作りのピンクのテディベア「ブースケ」をプレゼントされるところから始まります。このテディベアには、遠い惑星ドムホから地球に迷い込んだ綿状生命体が宿っていました。

同じ日、身内を亡くして孤独になった響子の従妹、鮎川夢子（通称ダメ子）が母親の田舎から上京してきます。

響子の誕生日を祝うためにレストランで食事をしていた家族に悲劇が襲います。突如、ゾンビ化した集団が押し寄せ、響子の母親は娘をかばって命を落とします。響子は直接その光景を見ていなかったため、ダメ子が自分をかばって犠牲になったと誤解してしまいます。

このゾンビ集団は、ブースケと共に惑星ドムホから来た悪党、デ・パルザがタケシと合体して生まれた存在「チャーリー」による悪の計画の一部でした。チャーリーは、配下の超能力者キル・ビリーや、左腕がマシンガンの片腕ロリータ、そしてゾンビたちを率いて、世界に混乱をもたらそうとしていました。

ゾンビから響子を守ろうとして傷ついたダメ子を救うため、ブースケはダメ子と合体することを提案します。この合体の際、ダメ子が「可愛らしさとやわらかさ、それと力強さ」を強く願った結果、「綿より鋭い抱き心地、悪党どもには抱かせない」という、ピンク色のテディベアの姿をした強力なぬいぐるみ戦士「ヌイグルマー」が誕生するのです。こうして、ヌイグルマーは悪に立ち向かうことになります。

主な登場人物・キャスト

鮎川夢子（ダメ子）/ ヌイグルマー/キル・ビリー: 中川翔子
鮎川響子: 市道真央
ブースケ（声）: 阿部サダヲ
チャーリー（声）/デ・パルザ: 山寺宏一
片腕ロリータ: 高木古都

その他、斎藤工、猫ひろし、西村喜廣など、個性豊かなキャスト陣が出演しています。

主なスタッフ

監督: 井口昇
脚本: 継田淳、井口昇
音楽: 福田裕彦
特殊造型監督: 西村喜廣
ヌイグルマーデザイン: 鶴巻和哉、コヤマシゲト

音楽

本作の音楽は、原作者である大槻ケンヂが率いる『特撮』が中心となっています。主題歌「ヌイグルマーZ」は特撮と中川翔子のコラボレーション楽曲です。その他、「一点もの」「遊星歯車機構」「マリリン・マラソン」など、特撮の楽曲が作品世界を彩っています。

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