ネイズビーの戦い

ネイズビーの戦い：イングランド内戦の転換点

1645年6月14日、イングランド内戦において、王党派と議会派が激突したネイズビーの戦いは、その後の内戦の帰趨を決定づける、極めて重要な戦闘となりました。この戦いの勝利によって、議会派は優勢を確立し、イングランド内戦は終結へと向かいます。

戦いへの序章：それぞれの思惑と準備

1645年初頭、特にニューモデル軍の台頭によって勢力を増しつつあった議会軍は、王党派にとって大きな脅威となっていました。王党派は、まだ編成途上のニューモデル軍を早期に撃破し、マーストン・ムーアの戦いで失ったイングランド北部を奪還、さらにはスコットランドのモントローズ侯の支援を得ることを目指していました。そのため、北方に兵力を割き、主力部隊は数を減らしたまま戦いに臨むこととなります。

一方、議会派はフェアファクス率いる軍勢にオックスフォードの包囲を命じました。当初、王党派は北部の平定を優先し、オックスフォードの包囲を無視していましたが、オックスフォード陥落の報を受け、議会軍の注意を逸らすため、レスターを攻撃します。さらに、フェアファクス軍を攻撃すべく、チャールズ1世とルパートはオックスフォードへと兵を進めます。

レスター陥落の報に動揺したイングランド議会は、フェアファクスに国王軍主力の撃退を命じました。フェアファクスは北上し、ダヴェントリーで国王軍の先遣隊と衝突。そして、これ以前は辞退条例によって軍を離れていたクロムウェルが、議会の特例措置によってニューモデル軍副司令官として軍に復帰し、精鋭の鉄騎隊を率いてフェアファクスの本隊に合流します。

ネイズビーの激戦：激突と明暗

6月14日、両軍はネイズビーで対峙します。議会軍は約14,000名、国王軍は約7,400名と、議会軍が数で勝っていました。議会軍は左翼にアイアトン、右翼にクロムウェル、中央にフェアファクスとスキッポンを配置。国王軍は左翼にラングデイル、右翼にルパート、中央にチャールズ1世が配置されました。国王軍は、ニューモデル軍に新規兵が多いことを考慮し、戦況を楽観視していました。

午前10時、国王軍が攻撃を開始します。クロムウェル率いる右翼は激しい戦闘の末、ラングデイルの騎兵隊を押し返していきます。一方、左翼ではルパートの猛攻により、アイアトンは敗走を余儀なくされ、多くの兵が戦場から離脱しました。

中央では激しい銃撃戦と長槍による戦闘が展開され、スキッポンが負傷し、議会軍は後退を始めます。フェアファクスは戦線維持に尽力し、プライド大佐らの活躍も相まってアストレーの攻勢を食い止めます。

クロムウェル率いる鉄騎隊は国王本隊に迫り、チャールズ1世は親衛隊を派遣しますが、命令の伝達ミスにより親衛隊は後退。この隙を突き、クロムウェルはチャールズ1世の歩兵連隊を壊滅させます。左翼ではアイアトンの残存部隊が国王軍右翼を攻撃。国王軍は左右から挟撃され、ルパートの帰還もむなしく総崩れとなりました。

戦後の影響：議会派の勝利と内戦終結へ

ネイズビーの戦いは、王党派に壊滅的な打撃を与えました。議会派は勝利を全国に宣伝し、兵糧や大砲を接収、国王軍の再建を事実上不可能にしました。

内戦は1年以上続きましたが、王党派は劣勢を覆すことができず、次々と拠点を奪われ、部将らは降伏していきました。フェアファクス率いるニューモデル軍は西部へ進軍し、ブリストルを陥落させます。1646年、オックスフォードも陥落し、チャールズ1世はスコットランドへ亡命しました。ネイズビーの戦いは、イングランド内戦の終結、そしてイギリスの歴史における大きな転換点となったのです。

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