ネイビーシールズ (2012年の映画)

ネイヴィシールズ：実弾と現役隊員が織りなす戦場のアクション超大作

2012年公開のアメリカ映画『ネイビーシールズ』（原題：Act of Valor）は、アメリカ海軍特殊部隊Navy SEALsの任務を描いたアクション映画です。PG-12指定のこの作品は、現役のNavy SEALs隊員が自ら演じ、実弾を使用した撮影が行われたという点で、他に類を見ないリアリティを誇ります。映画のタイトルである『Act of Valor』は「勇気ある行為」を意味し、まさに隊員たちの勇敢な行動を体現しています。

緊迫感あふれるストーリー

物語は、休暇中のNavy SEALs「チーム7」のローク大尉と副長のデイブの親密な関係から始まります。しかし、平和な時間は長く続かず、コスタリカで麻薬カルテルに拉致されたCIA女性エージェント、モラレスの救出という緊急任務が下されます。

モラレス救出後、麻薬カルテルとイスラム系テロリストの繋がりという、予想だにしていなかった重大な事実が明らかになります。事態の深刻さを悟ったSEALsは、麻薬カルテルの大物ディーラー、クリストの逮捕に動き出します。クリストの豪華クルーザーを急襲し、逮捕に成功しますが、クリストは米国内主要都市を標的とした自爆テロ計画の存在を暴露します。

テロリストの拠点がメキシコにあることが判明すると、SEALsはメキシコ軍特殊部隊と協力し、危険な急襲作戦を決行します。麻薬組織とテロリストの大軍との壮絶な戦闘が繰り広げられ、SEALs隊員の命がけの戦いが描かれます。

現役隊員によるリアルな描写

本作の最大の特徴は、何と言っても現役のNavy SEALs隊員とSWCC隊員がキャストとして参加している点です。俳優を起用する案もあったようですが、最終的には隊員自らが演じるという異例の決断が下されました。そのため、隊員たちの演技は、まるでドキュメンタリーを見ているかのようなリアルさで、戦闘シーンの迫力も桁外れです。使用された武器・兵器も全て本物であり、実弾を使用した撮影は、観客に臨場感あふれる体験を与えます。なお、隊員たちのプライバシー保護のため、本名は公開されていません。

賛否両論を巻き起こした評価

制作費1200万ドルに対して、全世界興行収入は8100万ドルを超える大ヒットを記録しました。2012年のパームスプリングス国際映画祭では、監督のスコット・ウォーとマイク・マッコイが注目監督賞を受賞しています。

しかし、批評家の評価は真っ二つに分かれています。Rotten Tomatoesでは136件のレビューのうち26％という低い評価、Metacriticでも加重平均値40/100と厳しい結果となっています。批評家からは、「陳腐な脚本」「大げさな演技」「戦争の複雑さを無視したジンゴイズム的な姿勢」といった酷評が寄せられています。

一方で、ロジャー・イーバートのような厳しい評価で知られる評論家からは好意的な評価も得ています。イーバートは、現役隊員によるリアルな演技、本名の非公開、実弾使用といった点に注目し、映画のアクション描写を高く評価しました。特に、オリバー・ストーン監督の『プラトーン』やキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』と比較しながら、本作のアクションへの重点とドラマ部分の軽さを指摘しつつも、隊員たちの自然な演技を賞賛しています。

まとめ

『ネイビーシールズ』は、現役Navy SEALs隊員によるリアルな演技と、実弾を使用した迫力あるアクションシーンが大きな魅力です。しかし、ストーリーや脚本については賛否両論があるため、好みが分かれる作品と言えるでしょう。戦争映画、アクション映画ファンの方はもちろん、ドキュメンタリーのようなリアルさを求める方にもおすすめです。

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