ネイピア卿

ネイピア卿：スコットランド貴族の爵位

ネイピア卿は、1627年にアーチボルド・ネイピアが叙位されたことに始まるスコットランド貴族の爵位です。ここでは、その歴史と変遷について詳しく解説します。

歴史

スコットランド王ジェイムズ6世（イングランド王ジェイムズ1世）の廷臣であったアーチボルド・ネイピアは、1627年に(マーチストンのネイピア)準男爵とネイピア卿に叙せられました。当初、ネイピア卿位は直系の男系男子に限定されていましたが、後の継承において重要な変更が加えられました。

イングランド内戦中、初代卿は初代モントローズ侯爵ジェイムズ・グラハムと共に王党派として活動し、キルシスの戦いに参加しました。

3代卿アーチボルド・ネイピアには子供がいなかったため、1677年にネイピア卿位を一旦王冠に返還し、姉妹への継承と姉妹の子孫への女系継承を可能とする継承規定を追加した上で再授与されました。この変更により、ネイピア卿位は男系が絶えた後も存続することが可能になりました。

3代卿の死後、(マーチストンのネイピア)準男爵位は休止となりましたが、ネイピア卿位は2代卿の長女ジーンと第3代準男爵トマス・ニコルソンの長男であるトマス・ニコルソンに女系継承されました。その後、トマス・ニコルソンの早世により、叔母であるマーガレット・ブリスベンが5代女卿を継承し、さらにその娘エリザベスの子であるフランシス・スコットが6代卿を継承しました。フランシス・スコットは、この継承に際してネイピア姓に改姓しています。

6代卿以降は、直系の男系男子によってネイピア卿位が継承されています。

8代卿フランシス・ネイピアは、貴族代表議員やスコットランド教会総会への勅使、フリーメイソンのスコットランド・グランドロッジのグランドマスターなどを歴任しました。

10代卿フランシス・ネイピアは外交官として各国公使・大使を歴任した後、植民地インドに赴任し、マドラス総督やインド総督代理を務めました。1872年には連合王国貴族爵位エトリック男爵に叙せられ、以降の当主は自動的に貴族院議員に列することとなりました。

現在の当主は、15代卿フランシス・ネイピアです。

現当主の保有爵位・準男爵位

マーキストンの第15代ネイピア卿
セルカーク州におけるエトリックの第6代エトリック男爵
(サールズテーンの)第12代準男爵

ネイピア卿 (1627年)およびエトリック男爵 (1872年) 一覧

初代ネイピア卿：アーチボルド・ネイピア (1575頃–1645)
2代ネイピア卿：アーチボルド・ネイピア (1625頃–1660)
3代ネイピア卿：アーチボルド・ネイピア (-1683)
4代ネイピア卿：トマス・ニコルソン (1669–1688)
5代ネイピア卿：マーガレット・ブリスベン (-1706)
6代ネイピア卿：フランシス・ネイピア (1702頃–1773)
7代ネイピア卿：ウィリアム・ネイピア (1730–1775)
8代ネイピア卿：フランシス・ネイピア (1758–1823)
9代ネイピア卿：ウィリアム・ジョン・ネイピア (1786–1834)
10代ネイピア卿・初代エトリック男爵：フランシス・ネイピア (1819–1898)
11代ネイピア卿・2代エトリック男爵：ウィリアム・ジョン・ジョージ・ネイピア (1846–1913)
12代ネイピア卿・3代エトリック男爵：フランシス・エドワード・バジル・ネイピア (1876–1941)
13代ネイピア卿・4代エトリック男爵：ウィリアム・フランシス・セシル・ジェイムズ・ハミルトン・ネイピア (1900–1954)
14代ネイピア卿・5代エトリック男爵：フランシス・ナイジェル・ネイピア (1930-2012)
15代ネイピア卿・6代エトリック男爵：フランシス・デイヴィッド・チャールズ・ネイピア (1962-)

法定推定相続人は、現当主の息子であるウィリアム・アレグザンダー・ヒュー・ネイピアです。

(サールズテーンの)準男爵 (1666年) 一覧

初代準男爵：サー・フランシス・スコット (1645–1712)
2代準男爵：サー・ウィリアム・スコット (1670–1725)
3代準男爵：サー・フランシス・スコット (1702頃–1773) - 1706年に第6代ネイピア卿を継承し、ネイピアに改姓。

関連項目

カーノック男爵
* ネイピア準男爵

もう一度検索