キルシスの戦い

キルシスの戦い：1645年、スコットランド内戦の激戦

1645年8月15日、スコットランドのキルシスで繰り広げられたキルシスの戦いは、清教徒革命（三王国戦争）におけるスコットランド内戦の重要な一戦でした。この戦いで、王党派のモントローズ侯爵ジェイムズ・グラハムは、数的に不利な状況にも関わらず、国民盟約（カヴェナンター）軍に劇的な勝利を収めました。

戦前の動き

1645年、国民盟約軍の指揮官ウィリアム・ベイリーは、パースでスコットランド身分委員会の会議に参加していました。ベイリーは6000の歩兵と800の騎兵を率い、さらにファイフで徴募した兵士、イングランドからの正規兵、そしてモントローズ侯に敗北した残兵が加わっていました。騎兵は主に竜騎兵で構成されていました。また、ラナーク伯爵ウィリアム・ハミルトンも、クライズデールで徴募した軍を率いて北上していました。

モントローズは、これらの敵軍が合流する前に各個撃破する戦略を取りました。ダンケルドから進軍したモントローズ軍は、パースを避け、キンロス、グレンファーグ、アロアを経由してスターリング近くでフォース川を渡河しました。そして、遠回りをしてスターリング城に近づくことなく、8月14日の夜にはキルシスの傍のコリアム城の牧草地に駐屯しました。

ベイリーはモントローズ軍の進軍を察知しましたが、その目的を特定するのに時間がかかりました。敵に先手を取られ、ラナーク軍が危険にさらされていることを知ったベイリーは、南下してスターリングに到着しました。モントローズがコリアムに到着した同じ夜、ベイリーはそこから3マイル離れたホリンブッシュに駐屯しました。夜遅くに到着したベイリー軍は、そこで休息を取りました。

夜中に偵察部隊を派遣して王党派の位置を特定したベイリー軍は、翌朝早くバントンに移動しました。バントンは王党派の駐屯地の東に位置し、コリアムよりも高台にありました。

戦闘の経過

王党派軍は、敵の本隊が現れたことに動揺することはありませんでした。ベイリーは、敵軍がよく準備されていること、そして自軍がフル装備で数マイル行軍してきたことを考慮し、バントンに留まってラナークの援軍を待つことを選びました。ラナーク軍が到着すれば、王党派軍を挟み撃ちにでき、もしモントローズがラナーク軍に攻撃した場合、自軍が背後から攻撃できると判断しました。さらに、モントローズ軍がカヴェナンター本軍に直接攻撃を仕掛けることは、高地にいる数で勝る敵を攻撃することになり、非常に不利な状況になるとも考えました。

ベイリーの決定は合理的でしたが、彼の命令は身分委員会の承認が必要でした。委員会には、アーガイル侯爵アーチボルド・キャンベル、クロフォード伯爵ジョン・リンジー、タリバーディン伯爵ジョン・マレー、バルフォアのバーリー卿ロバート・バルフォア、エルチョ卿デヴィッド・ウィームズ、そして数人のカルヴァン派の聖職者がいました。彼らは、モントローズ軍が逃走することを恐れ、モントローズ軍への側面攻撃を命令しました。ベイリーは反対しましたが、聞き入れられませんでした。

カヴェナンター軍が進軍を開始すると、その左翼（側面進軍のため、実際には前方に位置）はモントローズ軍の左翼であるマクリーン氏族の騎兵に攻撃を仕掛け、右翼は王党派の騎兵を攻撃しました。その他の兵士には特定の命令がなく、各自で攻撃したため混戦状態になりました。モントローズは、この機に乗じて騎兵とハイランダー軍を混乱したカヴェナンターの縦隊に投入しました。その後、王党派の騎兵も攻撃に加わりました。ベイリー軍は完全に破られ、逃走しました。

カヴェナンター軍は、約4分の3という壊滅的な損害を被りました。ベイリー自身は、騎兵の援護を受けながら南へ逃げましたが、ケルビン川近くのダラター湿原で捕らえられました。しかし、彼は騎兵を置いて逃走し、無事にスターリング城にたどり着きました。後年、フォース・アンド・クライド運河の工事中に、この戦いで命を落とした兵士たちの遺体が発見されました。中には、乗馬したままだった遺体もあったそうです。

その後

ラナーク軍は、敗北を知ると四散し、ラナーク自身と身分委員会はイングランドへ逃亡しました。この結果、モントローズは短期間ながらスコットランドを支配し、グラスゴーに入ると国王チャールズ1世の名の下に議会を招集しました。

しかし、モントローズが知らなかったことに、イングランド王党派はキルシスの戦いの2ヶ月前の6月14日、ネイズビーの戦いで議会派に敗北し、国王軍は壊滅的な打撃を受けていました。モントローズは国王を支援するために南下しようとしましたが、9月13日のフィリップホフの戦いで決定的に敗北しました。

記念

戦場には記念塚が建てられ、2009年にはスコットランド歴史環境政策により、ヒストリック・スコットランドによって保護されています。また、8月14日のモントローズ軍駐屯を記念して、コリアム城の草地は「騎兵公園」と呼ばれるようになりました。

参考資料

Summary of the battle on Scotwars website
Battlefield Trust entry on Battle of Kilsyth
* British Civil Wars entry on Montrose's campaigns, including a summary of the battle

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