ネオマスカット

ネオマスカット：日本の風土が育んだブドウ

ネオマスカットは、日本で開発された黄緑色のブドウ品種です。そのルーツは、甲州三尺とマスカット・オブ・アレキサンドリアという二つの品種の交配にあります。開発者の広田盛正によって1932年に命名され、日本の気候風土に適応した栽培が可能な品種として、その名を広めていきました。

特徴

一粒約10グラムほどの大きさで、マスカット・オブ・アレキサンドリアに似た、芳醇な香りと風味が特徴です。しかし、ネオマスカットが優れている点は、温室栽培が必須であるマスカット・オブ・アレキサンドリアとは異なり、露地栽培が可能であることです。これにより、栽培のコストを抑え、より多くの人々が楽しめるブドウとなりました。

栽培

1950年ごろから山梨県を中心に栽培が広がり、2010年の時点では、山梨県が最大の生産地であり、岡山県、新潟県などが主要な産地となっています。

スイマス（酸いマス）問題と品質向上への取り組み

ネオマスカットは、栽培管理が難しい面も持ち合わせています。収穫適期よりも早く収穫したり、果実を付けすぎたりすると、糖度が著しく低下してしまう性質があります。その結果、「スイマス（酸いマス）」と呼ばれる、酸味が強く品質の低いネオマスカットが市場に出回ることがあり、品種全体の評価を低下させる原因となりました。

この苦い経験から、2006年にシャインマスカットが誕生した際には、ネオマスカットの二の舞とならないよう、徹底した品質管理が行われました。具体的には、収穫時期の厳守、適切な摘果による品質向上、そして品質基準を満たさない果実の排除など、生産者一丸となった取り組みがなされています。これらの努力によって、シャインマスカットは高い品質を維持し、市場で確固たる地位を築くことができました。

開発者の功績

ネオマスカットを開発した広田盛正の出身地である岡山市東区草ケ部には、その功績を讃える顕彰碑が建立されています。この碑は、1971年に建てられ、ネオマスカットが地域にもたらした貢献を今に伝えています。

まとめ

ネオマスカットは、日本のブドウ栽培の歴史において、重要な役割を果たした品種です。露地栽培を可能にしたこと、そしてその栽培を通して品質管理の重要性を認識させたことは、後のシャインマスカットの成功にも繋がっています。ネオマスカットの歴史は、日本のブドウ栽培の進化を語る上で、欠かすことのできない一部と言えるでしょう。

関連項目

ブドウ品種の一覧
ブドウ
* マスカット・オブ・アレキサンドリア

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