マスカット・オブ・アレキサンドリア

マスカット・オブ・アレキサンドリア

マスカット・オブ・アレキサンドリアは、ブドウの一種であり、特に果物としての消費が多い日本では「マスカット」として親しまれています。この品種は北アフリカに由来し、ローマ帝国の時代にはエジプトのアレキサンドリア港を経由して広まったと考えられています。果実は淡黄緑色で、長円形の大きな粒を形成し、甘味が強く、特有のマスカット香が特徴です。その優れた風味から「ブドウの女王」とも呼ばれています。

栽培と利用

マスカット・オブ・アレキサンドリアは多様な地域で栽培され、特にスペイン、イタリア、南アフリカでは生食として親しまれています。一方、南ヨーロッパや南アメリカ、カリフォルニア、オーストラリアではワインの原料として用いられ、日本では主に生食されるほか、ワイン、果汁、アイスクリーム、ゼリー、清涼飲料水、和菓子などにも利用されています。ボリビアでは、この品種を使ったワインを基に作られた蒸留酒・シンガニが人気です。

品種の歴史

マスカット・オブ・アレキサンドリアは、紀元前から続く非常に古いブドウ品種であり、今日でも高級品として重宝されています。主に甘みを引き出すために多くの品種改良が行われており、多くの新たな品種がマスカット・オブ・アレキサンドリアを基に生まれています。ただし、ジベレリン処理による無種子化ができないため、常に種子が残存しており、そのために種なし品種の開発が進められています。

日本における栽培

アメリカのカリフォルニア州では1852年に初めてマスカット・オブ・アレキサンドリアが栽培され、その後1920年代にはレーズン用としても活用されましたが、種なし品種の普及に伴って、主にデザートワインの材料として利用されるようになりました。日本においては、1880年頃に兵庫県に設立された官営の播州葡萄園で初めてこの品種が栽培されたとされています。その後、1886年には岡山県で技術と苗木を広めた農家により本格的な栽培が始まり、岡山は今では日本で最も多くのマスカット・オブ・アレキサンドリアを生産している地域となりました。この地方は、その気候や地質が栽培に適していたため、以降もこの品種が根付き、多くの生産者が存在しています。

他の地域では、山梨県や長野県などもブドウの生産地として知られていますが、マスカット・オブ・アレキサンドリアに関しては、気候や地質の関係からうまく根付かなかったと言われています。

別名について

マスカット・オブ・アレキサンドリアにはいくつかの別名があり、例えば「マスカット」、スペイン語の「ゴルド」やその派生形「ゴルド・ブランコ」などがあります。また、アレキサンドリアに由来する別称である「アレキ」も、主産地である岡山県の生産者の間で広く使用されています。

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