ネチン

ネチンの生涯と業績

ネチン（満州語：ᠨᡝᠴᡳᠨ、転写：necin、漢字:訥親、? - 乾隆10年（1745年））は、清朝時代の満洲鑲黄旗出身の政治家です。彼は清朝において重要な役割を果たし、兵部尚書や大学士、さらには軍機大臣を務めました。ネチンは鈕祜禄氏の一員であり、後金を創立した功臣である額亦都の曾孫として、その家系に名を刻んでいます。

経歴の流れ

ネチンの経歴は雍正5年（1727年）に二等公の爵位を受け継ぎ、散秩大臣に任命されたことから始まります。彼の誠実で清廉な人柄は、当時の雍正帝に強く評価されました。特に、彼の質素な生活ぶりは広く知られ、邸宅の門には獰猛な犬が繋がれていたものの、馬車の跡が見当たらないほどです。このような特徴が彼の品性を物語り、雍正帝から重用される要因となりました。

雍正11年（1733年）には軍機大臣に昇進し、機密業務に携わることになりました。その後、乾隆帝が即位すると、ネチンは政務の総理として重要な任を担うようになり、一等公に昇進します。乾隆帝は彼を「第一の功臣」と称賛しました。

乾隆2年（1737年）には兵部尚書に就任し、その後、吏部尚書に異動しました。兵部尚書の職は鄂善が引き継ぎましたが、彼の政治的影響力はこの時期にも強く残っていました。

軍事指揮の苦悩

彼の業績の中で特に注目されるのは、乾隆13年（1748年）に指揮した大小金川の戦いです。ところが、ネチンは軍事経験が不足しており、遠く離れた場所から指揮を執る形となりました。そのため、戦局を正確に把握できず、最初は勝利を収めたものの、最終的には敗北を喫することとなりました。さらに、彼は張広泗と不仲であったため、軍の統率が取れず、戦局の打開が困難になりました。

この結果、彼は朝廷に対して3万の増援を要請しましたが、これがさらに戦費の増大を招くことになり、乾隆帝は彼に失望の念を抱くようになったのです。最終的には、新たにフヘンが指揮を執ることとなり、ネチンはその場から排除されました。

晩年の悲劇

乾隆14年（1749年）、ネチンは乾隆帝の命により北京に護送され、祖父エビルンが残した刀を与えられ、自害を命じられました。これは彼の生涯の終焉であり、一時は優れた功臣として評価された彼が、どうしてこのような悲劇に見舞われたのかが、その後の歴史においても話題となっています。

結論

ネチンの生涯は、清朝の治世における政治の浮き沈みを象徴するものです。彼の功績と同時に、晩年の悲劇がまさに歴史の残酷さを物語っています。彼がどのようにして権力を持ち、また失墜していったのかを知ることで、清朝時代の複雑な政治情勢をより深く理解することができるでしょう。

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