ネッツカップ

ネッツカップ（Netz Cup）とは

ネッツカップは、2000年から2020年の間にトヨタ自動車のネッツ店が主催したワンメイクレースのシリーズです。このレースは主にトヨタの小型車「ヴィッツ」を使用し、「GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race」という正式名称で知られていました。シリーズは一般のドライバーにレースの楽しさを提供することを目的にスタートし、日本のモータースポーツ界に多大な影響を与えました。

競技内容と特長

ネッツカップは、その独自のルールと構造により、レース初挑戦のドライバーから趣味として楽しむホビーレーサーまで、幅広い層の参加を可能にしました。特に、ヴィッツを用いたレースは、通常のモータースポーツでは考えられない、「ナンバー付き車両限定レース」として位置づけられており、街乗り用車両をそのままレースに参加させることができる点が大きな魅力です。

シリーズの初期には、初心者向けの「ヴィッツレース」と中級者向けの「アルテッツァレース」という2つのカテゴリーが設けられていました。特に、ヴィッツレースは特定のサーキットで開催されることが多く、エントリー数も多く盛況を呈しました。2006年にアルテッツァレースが終了すると、ヴィッツレースは主にレクリエーションとして楽しむためのカテゴリーとして進化し、ドライバー育成の役割は徐々に薄れていきました。

2013年からはトヨタが新たに「GAZOO Racing 86/BRZ Race」を開始したため、ヴィッツレースはその下位カテゴリーとして位置付けられるようになりました。しかし、2021年にヴィッツの後継車「ヤリス」による「Yaris Cup」が新たに設けられたため、ネッツカップは2020年をもって終了しました。

ヴィッツレースの詳細

このシリーズの最も知名度が高いヴィッツレースは、JAF（日本自動車連盟）公認の競技で、参加するためにはJAF国内A級ライセンスが必要です。特に2013年以降は、「GAZOO」が冠についていることからも、トヨタのブランド力を借りた認知度がさらに向上しました。競技中は基本的にナンバー付きの市販車を自走でサーキットに持ち込むことが求められ、レース後には公道走行可能かどうかの検査が行われるなど、一般ドライバーに配慮したルールが魅力的です。

車両レギュレーション

競技に使用される車両は、最初は一般販売されているヴィッツが対象でしたが、2006年からはトヨタテクノクラフト（TRD）が製造した「Vitz RS TRD Racing」のみが許可されるようになりました。各年次によって車両のモデルが変更されていき、最初のモデルから数世代にわたる進化が見られました。

基本的にエンジンの改造は禁止され、レース中のタイヤもグッドイヤー製のワンメイクとされており、競技の公平性が保たれていました。また、サーキットは全国各地にあり、北海道から九州まで広がっており、参加者はそれぞれのエリアで競技を楽しむことができました。

レースの影響と展望

ネッツカップは多くの参加者を集め、特に初期の段階ではコンソレーションレースにエントリーする選手が多数おり、その人気は計り知れませんでした。この盛況ぶりは他のワンメイクレースの登場を促し、マツダ・ロードスターやフォルクスワーゲン・ルポなど、ナンバー付き車両を使用した新たなレースが続々と誕生するきっかけとなりました。

最終的には、ネッツカップは2020年に終了しましたが、これまでの経験と蓄積されたノウハウは、今後のモータースポーツ振興に活かされていくことでしょう。特に、日本のモータースポーツ文化の発展に大きな寄与を果たしたことは間違いありません。

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