ネプチューン (軽巡洋艦)

イギリス軽巡洋艦ネプチューン：地中海の戦いと悲劇の沈没

本稿では、第二次世界大戦で地中海を舞台に活躍したのち、悲劇的な最期を遂げたイギリス海軍の軽巡洋艦ネプチューン (HMS Neptune) について詳述します。

リアンダー級軽巡洋艦とネプチューンの誕生

ネプチューンは、リアンダー級軽巡洋艦の4番艦として建造されました。ローマ神話の海神ネプトゥーヌスにちなんで命名された同艦は、1931年9月24日にポーツマス工廠で起工、1933年1月31日に進水、そして1934年2月12日に就役しました。

戦間期の活動

就役後、ネプチューンは本国艦隊第2巡洋艦戦隊に配備され、イギリス海軍の活動を支えました。1936年には、夏季オリンピック開催中のドイツ・キール軍港を訪問し、ドイツ海軍の艦艇と共に観艦式に参加するなど、国際的な場面にも登場しています。この際、イギリスは第一次世界大戦で沈没したドイツ巡洋戦艦ヒンデンブルクから引き揚げられた時鐘をドイツに返還しています。

その後、1937年7月にはアフリカ戦隊に配備転換され、姉妹艦アンフィオンと共に第6巡洋艦戦隊を構成し、南アフリカ周辺で活動しました。1939年6月には姉妹艦アンフィオンがオーストラリア海軍に移管され、「パース」と改名されています。

第二次世界大戦の勃発と大西洋での活動

第二次世界大戦勃発後、ドイツ海軍による通商破壊作戦に対抗するため、ネプチューンは大西洋で活動を開始します。ドイツ艦船の拿捕や撃沈に貢献し、1939年9月5日にはドイツ船「Inn」を撃沈しました。11月には、ドイツ仮装巡洋艦「アドルフ・ヴェールマン」を捕捉し、乗員162名を収容する活躍を見せました。

地中海への転戦と激戦

1940年6月、イタリアが参戦すると、ネプチューンは地中海艦隊に配備され、マルタ島や北アフリカを巡る激戦に参加しました。6月にはバルディア砲撃作戦に参加し、7月にはカラブリア沖海戦でイタリア艦隊と交戦しました。この海戦では、イタリア軽巡洋艦ジュゼッペ・ガリバルディからの命中弾を受けながらも、イタリア重巡洋艦ボルツァーノに損害を与えています。

その後、8月からはインド洋に転戦し、船団護衛や通商破壊艦の捜索に従事しました。1941年6月には、アゾレス諸島北方でドイツの補給船を攻撃、撃沈に追い込みました。

北アフリカ戦線とK部隊

1941年10月、ネプチューンは北アフリカ戦線への枢軸国輸送船団攻撃を任務とするK部隊に所属しました。11月にはマルタへの増援部隊として出撃、同島からの作戦にも参加しました。12月には、マルタへの輸送船護衛任務や第1次シルテ湾海戦にも参加し、イタリア艦隊を撃退する活躍を見せました。

トリポリ沖での沈没

12月18日、シルテ湾海戦後、ネプチューンはトリポリへ向かう枢軸国船団攻撃のため出撃しました。しかし、トリポリ沖に敷設されたイタリアとドイツの機雷原に突入、12月19日未明に複数の機雷に被雷し、沈没しました。乗員764名中、生存者は1名のみという悲劇的な結末でした。ネプチューンの沈没は、機雷の危険性と、戦争の残酷さを改めて示すものとなりました。

参考文献

岡部いさく 著、小川光二 編『英国軍艦勇者列伝2　Legend of British Fighting Ships 2』（大日本絵画）
木俣滋郎『大西洋・地中海の戦い　ヨーロッパ列強戦史』（光人社NF文庫）
V.E.タラント、井原祐司 訳『戦艦ウォースパイト　第二次大戦で最も活躍した戦艦』（光人社）
永井喜之、木俣滋郎『新戦史シリーズ撃沈戦記・PARTII』（朝日ソノラマ）
三野正洋『地中海の戦い』（朝日ソノラマ）
本吉隆『第二次世界大戦 世界の巡洋艦　完全ガイド』（イカロス出版）
* その他、多数の文献、史料

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