ネルソン・アトキンス美術館

ネルソン・アトキンス美術館

ネルソン・アトキンス美術館（The Nelson-Atkins Museum of Art）は、ミズーリ州のカンザスシティに位置し、多彩な美術品を所蔵する著名な美術館です。美術館の歴史は、創設者であるウィリアム・ロックヒル・ネルソンの遺志により始まります。ネルソンは1915年に亡くなりましたが、彼の妻と娘が故人の遺産を公共のために芸術品購入に充てるよう依頼しました。

設立にあたり、1911年にはメアリー・アトキンスが美術館建設のために30万ドルを寄付。彼女の資産はその後運用されて増額し、最終的には70万ドルに達しました。最初は二つの美術館設立が計画されましたが、資金を一つにまとめることに決まり、最終的に1933年に美術館はオープンしました。建物はカンザスシティの建築事務所ワイト・アンド・ワイトによってボザール様式で設計されました。

1983年には「ネルソン・アトキンス美術館」という名前に変更され、ウィリアム・ロックヒル・ネルソンにちなんだ二つの部門から現在の形になりました。彼の寄贈によって美術館は多様なコレクションを構築でき、大恐慌の時期には多くの美術品が提供され、その結果として当美術館は急速にアメリカを代表する美術館の一つに成長しました。

2007年には、スティーヴン・ホールによる新たな増築が行われ、施設がさらに充実しました。

コレクション

ネルソン・アトキンス美術館のコレクションは非常に多様で、特にヨーロッパの絵画が豊富です。ここにはミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオやレンブラント、ゴッホ、シャルダンといった著名なアーティストの作品が含まれています。特に印象派の代表たちの絵画も多数所蔵されており、芸術愛好者にはたまらない魅力を持っています。

また、アジア美術のコレクションも広範囲にわたり、中華帝国時代の作品や、特に葛飾北斎、歌川広重などを含む浮世絵も数多く収蔵されています。日本の工芸品においても、鎌倉時代に遡るような貴重な品々が展示されています。

アメリカの絵画も見逃せないポイントです。特にトーマス・ハート・ベントンのコレクションは規模が大きく、ジョージ・ベローズやジョン・シンガー・サージェントの作品も所蔵されており、アメリカの歴史的芸術を体感することができます。

さらに美術館内には写真コレクションも存在し、2006年に寄贈されたホールマーク・フォトグラフィック・コレクションには、歴史的な写真作品が網羅的に含まれており、サウスワースやアルフレッド・スティーグリッツといった巨匠の作品も見ることができます。

カンザスシティ彫刻公園

美術館の外には、彫刻公園が広がっています。ここではヘンリー・ムーアのブロンズ作品をはじめ、アレクサンダー・カルダーやオーギュスト・ロダンなど、多くの著名な彫刻家の作品が展示されており、訪れた人々に独特の体験を提供しています。

美術館は火曜日と水曜日は休館で、他の曜日は午後5時まで開館していますが、金曜日のみ午後9時まで開いています。事前予約制の時間指定入場券が必要ですが、感染症対策を講じている点が特徴的です。

このような豊かさと魅力を併せ持つネルソン・アトキンス美術館は、訪問者にとって必見のスポットとなっています。

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