中華帝国

中華帝国とは

中華帝国（ちゅうかていこく）または中華王朝（ちゅうかおうちょう）という言葉は、歴史的に二つの意味で用いられます。

1. 歴史的な統一王朝としての「中華帝国」

一つは、中国の歴史において、秦、漢、晋、隋、唐、元、明、清などの統一王朝を指す言葉です。これらの王朝は、漢民族の居住地域を超えて広大な領域を支配し、周辺諸国に中華思想の影響を及ぼしました。注目すべきは、漢民族が建てた王朝だけでなく、モンゴル系民族や満州民族といった非漢民族による王朝も含まれる点です。古代に登場した統一国家から、近代以前の東アジアは、中華帝国を中心とした一つの政治圏を形成していたと考えられています。類似の言葉として「中国の王朝」がありますが、これは現在の中華人民共和国が実効支配する地域において、天子が天からの委任を受けて天下を治めた朝廷を指します。

2. 短命な国家としての「中華帝国」（1915年-1916年）

もう一つは、辛亥革命による清の滅亡後、1915年から1916年まで存在した短命な国家です。この中華帝国は、袁世凱が皇帝となったことで成立しましたが、従来の放伐・禅譲・簒奪による皇位継承とは異なり、イギリス帝国やドイツ帝国などの近代国家の制度を模倣し、憲法や選挙といった合法的な手段を用いて皇帝となりました。そのため、名称は「中華帝国」ですが、従来の中華思想に基づいた王朝国家とは異なり、むしろ西洋の立憲君主制に近い国家形式だったといえます。

宋王朝の特殊性

宋王朝は、北宋と南宋に分けることができます。漢民族が建てた北宋は、遊牧民族である遼や西夏に対し、多額の歳幣を支払うことで、事実上の属国のような状態でした。その後、北宋は金を味方につけて遼を倒しましたが、今度は金と対立し、首都開封や広大な領土を失い、より狭い領域を治める南宋へと移行しました。この宋金戦争では、金の軍事力が南宋を圧倒しており、金は自らを「中国」と宣伝していました。

漢民族が建てた宋王朝は軍事力としては弱かったものの、後の元、明、清といった中華王朝からは「正統的な中国」とみなされました。軍事力の強かった契丹や女真など異民族が建てた国は「中国の正統ではない」と認識されていました。特に、元や清は異民族の王朝でありながら、漢民族の正統性を極めて尊重していたという点が特筆されます。

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