ネヴァー・レット・ミー・ダウン

ネヴァー・レット・ミー・ダウン

『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』（原題：Never Let Me Down）は、イギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイによって制作されたキャリア通算16作目にあたるスタジオ・アルバムです。この作品は1987年4月18日、EMIより公式にリリースされました。

アルバムの制作過程では、ボウイと長年にわたり親交のあるギタリスト、ピーター・フランプトンが全面的に関わっており、アルバム発表後に行われたツアーにもミュージシャンとして同行しています。さらに、俳優としても知られるミッキー・ロークがゲスト参加し、特定の楽曲でラップを披露するなど、多様な才能が結集しました。

商業的な観点では、本作はデヴィッド・ボウイがそれまでに達成してきた大きな成功と比較すると、振るわない結果となりました。特に母国であるイギリスでは、1980年代に彼が発表したオリジナル・スタジオ・アルバムの中で、唯一全英チャートでの1位獲得に至らなかった作品として記録されています。アルバムに先立ってリリースされたシングル「デイ・イン・デイ・アウト」は、全英シングルチャートで17位、全米シングルチャートでは21位を記録しましたが、アルバム全体のセールスを大きく後押しするには繋がりませんでした。

本作には、発売された地域や時期によって収録曲が異なる複数のバージョンが存在します。1987年に日本国内でリリースされたLP盤には、独自のボーナス・トラックとして、収録曲「ガールス」の日本語ヴァージョンがSIDE 1の最後に特別に追加収録されました。

その後、1995年12月25日にヴァージン・レコードより再発売されたCD盤では、オリジナルの収録曲リストから「トゥー・ディジー」が省かれる代わりに、3曲のボーナス・トラックが追加されています。これらのボーナス・トラックには、「ガールス」の英語ヴァージョン、シングル「デイ・イン・デイ・アウト」のB面曲であった「ジュリー」、そしてアニメ映画『風が吹くとき』のために書かれた楽曲「風が吹くとき」が含まれています。

収録曲リスト

オリジナル盤 (LP / CD)

1. デイ・イン・デイ・アウト (DAY-IN DAY-OUT)
2. タイム・ウィル・クロール (TIME WILL CRAWL)
3. ビート・オブ・ユア・ドラム (BEAT OF YOUR DRUM)
4. ネヴァー・レット・ミー・ダウン (NEVER LET ME DOWN)
5. ズィーロウズ (ZEROES)
6. グラス・スパイダー (GLASS SPIDER)
7. シャイニング・スター (SHINING STAR (Makin' My Love))
8. ニューヨークス・イン・ラヴ (NEW YORK'S IN LOVE)
9. '87・アンド・クライ ( '87 AND CRY )
10. トゥー・ディジー (TOO DIZZY)
11. バン・バン (BANG BANG)

EMI日本盤ボーナス・トラック (LPのみ)

ガールス（日本語ヴァージョン）(GIRLS (Japanese Version))

ヴァージン・レコード再発盤ボーナス・トラック (1995年 CD)

ジュリー (JULIE) (B-SIDE TO "DAY-IN DAY-OUT" SINGLE)
ガールス (GIRLS) (B-SIDE TO "TIME WILL CRAWL" SINGLE)（3分08秒）
風が吹くとき (WHEN THE WIND BLOWS) (FROM THE FILM "WHEN THE WIND BLOWS.")

参加ミュージシャン

本作のレコーディングには、デヴィッド・ボウイ自身がボーカル、ギター、キーボードなど複数の楽器を担当した他、以下のミュージシャンがクレジットされています。

デヴィッド・ボウイ: ボーカル、ギター、キーボード、メロトロン、モーグ、ハーモニカ、タンブリン
カルロス・アロマー: ギター、ギター・シンセサイザー、タンブリン、バッキング・ボーカル
エルダル・キジルケイ: キーボード、ドラムス、ベース、トランペット、バッキング・ボーカル。一部楽曲ではギターやヴァイオリンも演奏。
ピーター・フランプトン: ギター
カーマイン・ロジャス: ベース
フィリップ・セス: ピアノ、キーボード
クラッシャー・ベネット: パーカッション
管楽器: ラウリー・フリンク、アール・ガードナー、スタン・ハリソン、スティーヴ・エルソン、レニー・ピケット
バッキング・ボーカル: ロビン・クラーク、ロニ・グローヴス、ディーヴァ・グレイ、ゴードン・グロディ、ココ、サンドロ・サーソック、キャルヴァン・サッチ、ジョー、クレメント、ジョン、アグラエ
シド・マクギニス: 「デイ・イン・デイ・アウト」「タイム・ウィル・クロール」「バン・バン」でギターを担当。
* ミッキー・ローク: 「シャイニング・スター」でラップを担当。

『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』は、ボウイのキャリアにおいて、商業的な成功とは異なる文脈で語られることが多い作品ですが、その後の音楽活動への転換期を示すアルバムとして位置づけられています。

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