ネ20 (エンジン)

ネ20ターボジェットエンジンの概要

ネ20は、日本が1945年に開発した初の実用ターボジェットエンジンで、特殊攻撃機橘花に搭載されたことで知られています。「ネ」という名称は「燃焼噴射推進器」の頭文字に由来しています。このエンジンの開発は、海軍航空技術廠（空技廠）の指導の下、さまざまな技術革新と試行錯誤の結果として実現しました。

開発の背景

第二次世界大戦の真っ只中、日本はドイツ、イギリス、イタリアと並んで独自の噴流式発動機（ジェットエンジン）の開発に取り組んでいましたが、他国と比べて戦闘機としての実用化は遅れていました。この時期、日本の海軍技術者たちは、攻撃機橘花の開発において、高速で高高度を飛行し、敵の防空網を無効化して目標に到達するために、高性能なターボジェットエンジンが必要不可欠であると認識しました。

開発は、特にコバルトやニッケルなどの希少金属が制限されていたため、耐熱性素材の確保が大きな課題となりました。そのため、当初はステンレス鋼を用いることになりましたが、研究所の拠点も神奈川県の横須賀市から秦野市に移され、そこで実験が行われました。

また、ドイツからの技術資料も取り入れ、BMW 003エンジンを参考にしながら新たな開発を進め、1945年6月にネ20は完成を迎えました。しかし、ドイツのエンジン設計図の一部は海没し、完全なコピーは不可能でした。実際には、様々な試作を経て生まれたものでした。

特徴と性能

ネ20は、ドイツのBMW 003をモデルにした軸流式ターボジェットエンジンです。このエンジンは、8段の軸流圧縮機を持ち、約3.1の圧縮比を誇りましたが、耐久性が他国のジェットエンジンに比べて低かったのが課題です。特に、使用される材料が限られたことで、タービン部品の亀裂や焼きつきといった問題が生じ、短期間の使用に留まる結果となりました。

当時、ネ20エンジンは約50基が量産され、主に橘花の飛行試験に使用されました。しかし、終戦により開発が中断されることとなりました。開発チームは、今までの技術や経験を活かし、戦後の日本製ジェットエンジンであるJ3の設計にも関与しました。

戦後の運命

戦後、ネ20エンジンは東側諸国へ技術が流出することを防ぐため、すべて破壊されました。しかし、数基がアメリカに持ち去られ、現在でもアメリカには約3基が現存しています。その中でも、特に重要視されているのが中島飛行機小泉製作所が製造した2基で、現在はポール・E・ガーバー保管施設で保管されています。これらのエンジンは、戦後にアメリカ軍によって鹵獲され、重要な航空技術の研究に用いられました。

最新の研究と今後の展望

ネ20改という新型エンジンの設計も行われ、私は圧縮段数を減少させることで燃費や出力の向上が期待されましたが、試作までは至りませんでした。現在でも、過去の技術を参考にした研究や開発が進められており、ネ20の開発に関する資料は、航空機関連の技術に影響を与え続けています。

これにより、ネ20は日本の航空機エンジン技術の歴史において特別な地位を占めており、国産ジェット機や発電機のタービン製作など、その影響は広範囲にわたります。

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