ノミノフスマ

ノミノフスマについて

ノミノフスマ（学名：Stellaria uliginosa var. undulata）は、ナデシコ科に属する一年草（越年草）で、しばしば湿った土壌に見られる小さな雑草です。この植物は、細い茎を持ち、立ち上がるように生長し、明るい緑色の葉を持つ特徴があります。また、春から秋にかけて白い小さな花を咲かせることが多いです。特に暖かい地域では冬にも花を見ることができます。

名称の由来

ノミノフスマという名前は、漢字で「蚤の衾」と書かれ、布団を意味する「衾」が名付けの由来です。小さな葉がノミの布団に似ていることから名づけられました。また、漢名では「天蓬草」として知られており、時には「雀舌草」と誤解されることもあります。

分布と生育地

この植物は、日本全国、特に北海道から沖縄まで広く分布しています。また、朝鮮半島や中国でも見ることができます。ノミノフスマは主に野原や畑などのやや湿った場所に生息し、全体的には小規模な群落を形成することが多いです。特に稲作の期間中には、稲のない水田の雑草として非常に一般的に見かけます。

特徴

ノミノフスマは、一般的なハコベよりやや小柄で、茎は細く、まばらに分枝します。草丈は約15から25センチメートルで、葉は対生し、柄がなく、長楕円形で長さは8から20ミリメートル程度です。葉の先端は尖っており、縁が波打っています。花は春から秋にかけて咲き、茎の最上部に集散花序を形成します。各花は白色で、萼片は長さ3から3.5ミリメートル、花弁はこれよりやや長く、特徴的に根元付近で深く2裂し、ハコベ属に共通の形状を持っています。花柱は5個あり、初夏になると閉鎖花も見られるようになります。

分類

ノミノフスマは、原名変種に比べて花びらが長いことで区別がつきます。他のハコベ類は一般的に葉が幅広く、横に広がる傾向がありますので、ノミノフスマはその中でも特に細身の印象を与えます。また、名前が似ているノミノツヅリ（Arenaria serpyllifolia L.）と混同されることもありますが、こちらは異なる属に属し、葉の形状や花の構造が異なるため、容易に区別できます。

出典

ノミノフスマに関する情報は以下の文献を参考にしました。

• - 近田文弘監修、亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』小学館、2010年
• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本II 離弁花類』平凡社、1982年
• - 牧野富太郎『牧野 新日本植物図鑑』北隆館、1961年
• - 小野幹雄「ハコベ」『朝日百科 植物の世界 2巻』朝日新聞社、1997年
• - 米倉浩司・梶田忠「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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