ノリタケ (1916年設立の企業)

株式会社ノリタケの歴史：陶磁器販売の変遷

株式会社ノリタケは、かつて存在した日本の陶磁器・食器の販売会社であり、そのルーツは1916年に設立された合名会社日陶商会にまで遡ります。ここでは、同社の設立から株式会社ノリタケリビングへの吸収合併、そしてその後の変遷までを詳細に解説します。

設立までの経緯

1916年、日本陶器（現・ノリタケカンパニーリミテド）の国内向け販売会社として、名古屋市西区に合名会社日陶商会が設立されました。1921年からは東洋陶器（現・TOTO）の国内向け食器の販売も開始しています。

1921年11月には、本店を東京市芝区琴平町に移転し、合資会社日東陶器商会へと組織変更と改名が行われました。しかし、1923年の関東大震災で本店が火災に遭ったことをきっかけに、1924年に組織を再編。芝区今入町に日東陶器商会、大阪市東区に関西陶器商会、名古屋市中区に中央陶磁器商会をそれぞれ発足させ、各地域で特約店を組織しました。

1937年には、下関にあった特約店の光陽商会を東洋陶器と共に買収し、合弁会社として小倉市に光陽商会を設立。1940年7月から12月にかけて、これら4社は全て有限会社に改組され、中央陶磁器商会が中央陶器商会と名称を変更した以外は、そのままの名称が用いられました。1944年12月、戦時下の経済状況悪化により、4つの販売会社は閉鎖されましたが、終戦後に次々と営業を再開しました。

日東陶器商会は1945年10月に港区虎ノ門で業務を再開し、1959年2月には再び港区芝琴平町に本社を新築・移転しました。中央陶器商会は1945年11月から名古屋市の日本陶器社内で営業を再開し、1952年8月に名古屋市東区に新築した店舗に移転。関西陶器商会は1946年3月に京都市東山区に同商号で会社を新設し、1948年7月に大阪市東区に移転しました。光陽商会は1945年10月から小倉市の東洋陶器社内で営業を再開し、1949年4月に同市内に店舗を新築・移転しました。また、1946年4月には、旧・日東陶器商会札幌出張所が有限会社北海陶器商会として札幌市で独立し、これら5つの販売会社は「まるご店」（○の中に五）と呼ばれました。

1961年2月には、好景気が一段落したことを受け、これら5社が合併。同年5月には株式会社日東陶器商会として組織変更されました。以前の販売会社は、それぞれ東京店、大阪店、名古屋店、小倉店、札幌店となりました。1962年には横浜、翌年には新宿に出店するなど、業務を拡大。1964年4月1日に、食器商品のブランド名「ノリタケ」から、株式会社ノリタケと改称しました。

株式会社ノリタケの成長と変革

1967年10月18日に名古屋店を新築。翌年には本部機能を旧・日東陶器商会のあった東京から名古屋に移管しました。以降は、日本陶器（後にノリタケカンパニーリミテドに改称）やグループ各社の国内向け食器販売の総代理店として、卸販売と直営店の運営を行いました。

販売店の組織化については、1961年に約450社の取引先からなる「日東会」を結成。1969年には「ノリタケ会」と改称し、1971年には協力度の高い専門店を選んで「ノリタケDG（ダイアモンド＆ゴールド）会」を組織し、これを優遇する方針を打ち出しました。

これらの会員に対しては、店舗の改装時のデザイナー派遣、特別商品や販促品の提供、優秀店への表彰など、具体的な支援を行いました。また、百貨店での販売においては、同業他社との差別化を図るため、ノリタケカンパニーリミテドと大倉陶園の商品だけで売り場の一画を占める「ショップ・イン・ショップ」と呼ばれる販売方法を導入しました。この手法は、ロイヤルコペンハーゲンなどの海外高級食器メーカーと同じもので、1986年の伊勢丹・新宿本店での導入が最初の事例となりました。

個人向けの直営店運営では、1973年12月にノリタケカンパニーリミテドの厚木ガラス工場の敷地内に1号店を開店。その後、同社の工場に隣接するノリタケショップを次々と開設しました。1976年9月には名古屋の本社工場店、1978年11月には愛知県津島市の神守工場店、同年12月には愛知県西加茂郡の三好工場店がオープンしました。これらの直販事業のため、1980年12月にはノリタケマーチャンダイジング株式会社（現・ノリタケテーブルウェア）が設立されました。

ノリタケリビングへの吸収とその後

1980年代に入ると、ノリタケグループの再編が進み、1984年に業務用食器のホテル・レストラン向け部門がノリタケカンパニーリミテドの食器事業本部に移管されました。1987年にはノリタケカンパニーリミテドが三好物流センターを開設し、ノリタケの名古屋店の倉庫機能なども統合されました。

在庫管理の一元化などを目的として、2000年4月1日に株式会社ノリタケは株式会社ノリタケリビングに吸収合併され消滅しました。合併後の社名は「株式会社ノリタケ」でしたが、翌年株式会社ノリタケテーブルウェアと改称し、現在に至っています。

株式会社ノリタケは、その長い歴史の中で、販売体制の変革、ブランド戦略の強化、直営店の拡大など、様々な挑戦を行ってきました。その歴史は、日本の陶磁器業界における販売戦略の変遷を語る上で、重要な一例と言えるでしょう。

参考文献

• - ノリタケ100年史編纂委員会『ノリタケ100年史』、ノリタケカンパニーリミテド、2005年発行。

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