大倉陶園

株式会社大倉陶園：日本の高級磁器を代表するブランド

株式会社大倉陶園は、神奈川県横浜市に本社を置く、日本の陶磁器メーカーです。森村グループに属しており、日本の伝統的な呉須染付やヨーロッパの技法を駆使した、鑑賞価値の高い高級磁器を製造することで知られています。日常使いというよりは、特別な機会やコレクションとして愛される、風格ある作品が多いのが特徴です。

創業から現在まで：困難を乗り越え、発展を続ける歴史

大倉陶園の歴史は、1919年（大正8年）、大倉孫兵衛氏とその息子和親氏によって東京市蒲田区（現在の東京都大田区）で始まりました。創業日は工場の地鎮祭が行われた5月15日とされています。孫兵衛氏は万国博覧会で見た西洋陶磁器に感銘を受け、当時日本においては希少だった硬質白磁の製造を目指したと伝えられています。

しかし、硬質磁器の製造は容易ではありませんでした。最初の製品が出荷されたのは、孫兵衛氏の没後である1922年。その後、1924年に三越との取引を開始し、本格的な販売が始まりました。1929年には紋章入りのディナーセットを海外へ輸出するなど、国際的な展開も開始しています。1932年には在アメリカ合衆国日本国大使館にも食器を納入しています。

順風満帆に見えた大倉陶園の歴史も、第二次世界大戦によって大きな転換期を迎えます。1945年4月15日の空襲で工場は全焼。しかし、翌年には生産を再開し、1948年にはディナーセットの製造を再開しました。1950年には法人化し、株式会社大倉陶園となりました。販売面では、1952年に設立された大倉陶園販売株式会社を、1955年に閉鎖し、ノリタケテーブルウェアの前身である日東陶器商会に販売を委託しています。

1959年の皇太子明仁親王（現・上皇）と美智子妃殿下のご成婚を機に、大倉陶園は皇室御用達窯となりました。同年には横浜市戸塚区に新工場が建設され、翌年には移転。軽井沢にも夏季直営店を開設しました。

1974年の迎賓館（赤坂離宮）改修の際には、大倉陶園は正餐用、歓迎会用、個室用の3種類のディナーセットを納入しました。これは150人分、250人分、60人分の食器からなり、それぞれの用途に合わせたデザインと機能性を備えた、大倉陶園の技術力の高さを見せつける代表作となっています。

1995年には組織改編を行い、製造部門と業務部門の二本柱体制を確立。工場と画工場を設置し、現在の体制が整いました。

皇室御用達としての役割

大倉陶園は、皇室御用達窯として、数々の重要な機会に食器を提供してきました。1959年の皇太子明仁親王と美智子妃殿下の結婚、2005年の京都[[迎賓館]]への洋食器納入、2008年の洞爺湖サミット晩餐会など、重要な歴史的瞬間を彩る食器を製作してきました。これらの食器は、その技術と美しさから、日本を代表する高級磁器として高く評価されています。

現在

現在も、帝国ホテル店、コーヒかっぷ本社店（ファクトリーショップ）、軽井沢店（期間限定）など直営店を展開し、多くの人々にその製品を提供しています。伝統を守りつつも、常に進化を続ける大倉陶園は、これからも日本の高級磁器業界をリードしていく存在であり続けるでしょう。

年表

1919年：大倉陶園設立
1922年：最初の製品出荷
1924年：三越と取引開始
1929年：紋章入りディナーセットの海外輸出開始
1945年：空襲で工場全焼
1950年：株式会社大倉陶園設立
1959年：皇太子明仁親王のご成婚で晩餐会食器を納入
1960年：戸塚工場完成、移転
1974年：迎賓館改修時にディナーセットを納入
1995年：組織改編、工場・画工場設置
* 以降、皇室関係の食器納入など、多数の実績を残す。

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