ノルウェーの教育

ノルウェーの教育制度：義務教育から高等教育まで

ノルウェーの教育制度は、質の高い教育と高いPISA評価で知られています。本稿では、ノルウェーの教育制度を、義務教育、高等教育、そしてその歴史的背景という観点から詳細に解説します。

義務教育

6歳から16歳までの子供を対象とする義務教育は、初等教育（1～7学年）と前期中等教育（8～10学年）の2段階で構成されます。義務教育修了後も、16歳から21歳までの国民は、雇用されているか、何らかの教育を受けている必要があります。

学年は8月中旬に始まり、1月頃に前期と後期の区切りがあり、6月下旬に終了します。初等教育では、算数、国語（ノルウェー語）、英語、理科といった基礎科目が中心です。学年が上がるにつれて、地理、歴史、社会科学などが加わり、学習内容は多様化していきます。小学校（Barneskole）では、低学年のうちは教育的なゲームを取り入れ、楽しみながら学習する環境が提供されます。成績評価は、低学年では教員の助言が中心で、テストは家庭で実施され、保護者と共有されます。中学校（Ungdomsskole）では成績評価が導入され、8年生からはドイツ語、フランス語、スペイン語などの選択授業も提供されます。

学校は公立がほとんどですが、私立学校も存在し、初等教育では1.5%、前期中等教育では10%の生徒が私立に通っています。

高等教育

16歳から19歳を対象とする後期中等教育（Videregående skole）は、一般教育と職業教育の2種類に分かれています。450校ほどの学校があり、ほとんどが公立です。1994年の教育改革（Reform 94）では、従来の3分野（一般教育、商業教育、職業教育）を統合し、カリキュラムの共通化が図られました。卒業にはRussと呼ばれる盛大な祝賀行事があります。職業教育機関として、2年制のFagskoleutdanning（ISCED-4C）も存在します。

高等教育機関は、7つの大学（Universitet）と、その他の大学レベルの高等教育機関が存在し、学費は無料です。大学では、学士課程（3年）、修士課程（5年）、博士課程（4年）が設置されています。大学以外にも、様々な専門分野を扱う職業大学や準大学（høyskole）があり、多様な学習機会が提供されています。準大学では、短期課程（2～2.5年）と中期課程（3～4年）が設置されており、中期課程修了者は学士号を取得できます。

ノルウェー教育の歴史

ノルウェーの教育の歴史は古く、1152年には聖職者養成のための教会学校が設立されました。宗教改革後にはラテン語学校となり、1736年には読解能力の習得が義務化されました。1827年にはfolkeskole（フォルケスコーレ）が開始され、1889年には7年間の義務教育、1969年には9年間の義務教育となりました。1970～80年代には、folkeskoleに代わってgrunnskoleが導入されました。

高等教育においては、1479年にコペンハーゲン大学が設立されたのち、1811年にはオスロ大学がベルリン大学をモデルに設立され、フンボルト大学モデルの影響が見られます。その後、様々な専門学校や大学が設立され、今日の高等教育システムが形成されてきました。女性が大学入学試験を受ける権利を得たのは1882年、全ての学部で学ぶ権利を得たのは1884年と、女性の高等教育への参入も比較的早い段階から進められていました。

まとめ

ノルウェーの教育制度は、義務教育から高等教育まで、質の高い教育を提供することに重点が置かれています。PISA評価における高い順位も、その成果を示しています。長年にわたる教育改革や、多様な教育機関の存在が、ノルウェーの高い教育水準を支えていると言えるでしょう。今後も、世界的な教育動向を踏まえながら、更なる発展が期待されます。

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