ノルウェー舞曲

エドヴァルド・グリーグ『ノルウェー舞曲』について

『ノルウェー舞曲』作品35は、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグによって1881年に作曲されたピアノ連弾のための楽曲です。全4曲から構成されており、『4つのノルウェー舞曲』や『ノルウェー舞曲集』とも呼ばれています。後にグリーグ自身によりピアノ独奏版も作られました。管弦楽版も存在しますが、グリーグ自身は編曲を手がけず、ロベール・アンリックやハンス・ジットによって編曲されました。今日では、ハンス・ジットによる管弦楽版が最も広く知られています。

作曲の背景

グリーグは、自作のピアノ曲を管弦楽に編曲することがありましたが、この作品に関しては、同郷の友人であるヨハン・スヴェンセンの『ノルウェー狂詩曲』の管弦楽法に衝撃を受け、同様の民謡的な題材を基にした管弦楽曲を書くことにためらいを感じたと言われています。グリーグはフランスの作曲家による編曲を望んでいましたが、実現しませんでした。

素材

本作の素材は、ノルウェーの民謡収集家ルドヴィグ・リンデマンのコレクション『ノルウェー山地の民謡』に収録された民謡が用いられています。グリーグは1867年にこの民謡集に出会い、その影響を生涯にわたり受け、他の作品でも民謡の素材を使用しています。

初演

ピアノ連弾版：1883年2月6日と11日にベルゲンで初演
管弦楽版：初演日は不明

ハンス・ジット編曲版の編成

ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、トライアングル、ハープ、弦五部

演奏時間

全曲の演奏時間は約16分で、各曲の演奏時間は以下の通りです。
第1曲：約5分
第2曲：約3分
第3曲：約3分
第4曲：約5 - 6分

楽曲構成

第1曲：アレグロ・マルカート

三部形式で、軽快な舞曲主題と、中間部の素朴な牧歌風の旋律が特徴的です。

第2曲：アレグロ・トランクイロ・エ・グラツィオーソ

こちらも三部形式で、穏やかで優雅な舞曲主題と、中間部の激しい主題が対照的に描かれています。

第3曲：アレグロ・モデラート・アラ・マルチャ

三部形式で、最初の行進曲風の主題が、転調し、音価が倍に拡大されて中間部の穏やかな旋律になっています。

第4曲：アレグロ・モルト

導入部を持つ三部形式で、導入部の主題はグリーグ自身の創作によるものです。中間部にもこの主題が音価を半分に縮めて現れます。

まとめ

グリーグの『ノルウェー舞曲』は、ピアノ連弾版、独奏版、管弦楽版と様々な形態で親しまれています。特にハンス・ジットによる管弦楽版は、今日ではオーケストラで演奏される機会が多く、その美しい旋律と民族的な響きは、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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