ノルマン様式建築

ノルマン様式建築とは

ノルマン様式建築は、11世紀から12世紀にかけて、ノルマン人によってイングランドにもたらされたロマネスク建築の一様式です。ノルマン風建築、アングロ・ノルマン建築とも呼ばれ、ノルマン・コンクエスト（ノルマン人によるイングランド征服）以降に発展しました。この様式は、巨大で重厚な石造りが特徴であり、外部の装飾は比較的少なく、その武骨な外観が特徴です。

特徴

ノルマン様式建築の主な特徴は以下の通りです。

厚い壁と太い円柱: 建物の壁は非常に厚く、柱は太い円柱で構成されています。これにより、建物全体に安定感と重厚感を与えています。
半円アーチ: 入り口や窓の上部には半円形のアーチが多用されています。これはロマネスク建築全般に共通する特徴です。
石造りの天井: サクソン様式の木造屋根とは異なり、ノルマン様式では石造りの天井が採用されました。交差する半円アーチを連続させた構造により、高い支持力を実現しています。
ステンドグラスと明かり窓: サクソン様式と比較して、ステンドグラスが導入され、明かり窓の数も増えたため、内部の明るさが向上しました。
城塞のような外観: 特に寺院建築では、城塞建築のような武骨な外観が目立ちます。

歴史と発展

ノルマン様式建築は、11世紀にノルマン人がイングランドを征服した後に発展しました。ノルマン人は、それまでイングランドに存在していたサクソン様式建築を基盤に、独自の建築様式を発展させました。この様式は、イングランドの多くの大聖堂、修道院、城などに採用され、その一部は現在も残っています。

また、ノルマン様式は、ノルマン人の故郷であるフランス北部や、彼らが進出したイタリア南部でも見られます。さらに、近代になってから日本でも、この様式に倣って建てられた教会堂が存在します。

主な建築物

ノルマン様式建築の代表的な例としては、以下のものがあります。

イングランド

ダラム城
ウィンチェスター大聖堂
グロスター大聖堂
ダフィールド城
ピーターバラ大聖堂
ヨーク・ミンスター
ダラム大聖堂
セント・バーソロミュー・ザ・グレート

スコットランド

セント・マーガレット教会堂

フランス

モン・サン＝ミシェル

イタリア

ノルマンニ宮殿
クーバ城

日本

横浜山手聖公会

ゴシック様式への影響

ノルマン様式は、後のゴシック様式建築にも大きな影響を与えました。特に、交差ヴォールトやリブ・ヴォールトなどの技術は、ゴシック建築の重要な要素となっています。

まとめ

ノルマン様式建築は、11世紀から12世紀にかけて、ノルマン人によって発展した独自の建築様式です。その重厚な石造りや半円アーチ、交差ヴォールトなどの特徴は、後の建築様式に大きな影響を与えました。現在でも、イングランドをはじめとする各地に、この様式の建築物が残っており、その歴史的な価値を伝えています。

関連事項

ロマネスク建築
ノルマン・コンクエスト
* ノルマン人による南イタリア征服

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