ノロドム・モニニヤット

ノロドム・モニニヤット・シハヌーク：激動のカンボジアを生き抜いた王妃

ノロドム・モニニヤット・シハヌーク（1936年6月18日 - ）は、カンボジアの王妃（1993年9月24日 - 2004年10月7日）および王太后（2004年10月7日 - ）です。カンボジア国母という別称も持っています。夫であるノロドム・シハヌークの晩年を支え続けた唯一の王妃でした。

生い立ち

モニニヤットは、1936年にフランス領インドシナ（現ベトナム）のサイゴンで、ポール=モニーク・イッツィとして生まれました。父はコルシカ人、フランス人、イタリア人の血を引く銀行家ジャン=フランソワ・イッツィ、母はプノンペン出身のポム・ペアンです。幼少期はノロドム小学校、シソワス高校、リセ・ルネ・デカルトで学びました。

シハヌークとの出会いと結婚

1951年、モニニヤットはノロドム・シハヌークと出会い、カンボジア全国美人コンテストで優勝。1952年からシハヌークと同棲を始め、1955年3月5日に王宮で結婚式を挙げました。結婚の3日前、シハヌークは退位して首相となったため、モニニヤットはファーストレディとしての役割を担うことになりました。

カンボジア赤十字社での活動と王室内の葛藤

1967年から1970年まで、モニニヤットはカンボジア赤十字社(CRC)の会長を務めました。しかし、王太后であったシソワット・コサマックとの関係は良好ではなく、シハヌークが再び王位に就くことをコサマックが妨害したとも言われています。

クーデターと亡命生活

1970年のカンボジアのクーデター後、モニニヤットは夫と共に中国の北京へ亡命。その後、北朝鮮へ移りました。金日成総書記の厚遇を受け、滞在中は60室の宮殿が住居として提供されました。

クメール・ルージュ時代

1975年4月、プノンペンがクメール・ルージュによって陥落した後、モニニヤットは名目上の国家元首となった夫と共にプノンペンの王宮に戻りました。しかし、1976年以降はクメール・ルージュによって自宅軟禁下に置かれることになります。1979年1月、ポル・ポトはモニニヤットとシハヌークに対し、中国と共にカンボジアから脱出することを許可しました。当初は2人だけの避難計画でしたが、ポル・ポト自身の意向により、王室のメンバー全員が中国の飛行機で避難することになりました。

王妃、そして王太后へ

1993年9月24日、シハヌークが再び王位に就くと、モニニヤットは王妃となりました。2004年にシハヌークが退位すると、王太后となりました。2020年には、中国政府から友好勲章を授与されています。2024年にはベトナムの国家主席から表敬訪問を受けています。

人物

モニニヤットは、母語のクメール語に加え、フランス語、英語が堪能です。

家族

夫：ノロドム・シハヌーク国王
長男：ノロドム・シハモニ国王（1953年 - ）
次男：ノロドム・ナリンドラポン王子（1954年 - 2003年）
孫娘：ノロドム・シモナリン王女（1983年 - ）
* 孫娘：ノロドム・モニヌーク王女（1987年 - ）

モニニヤットは激動のカンボジアの歴史を、王妃、そして王太后として見守り続けています。

もう一度検索