リニア編集

リニア編集とは

リニア編集（リニアへんしゅう）とは、ビデオカメラなどの機材を用いて、磁気テープ（ビデオテープ）に映像や音声を記録し、編集する工程を指します。1990年代に登場したノンリニア編集技術が普及するまでは、この手法が主流の「ビデオ編集」として認識されていました。

歴史的背景

テレビ放送の初期は「生」でのメディア表示が主流であり、映像表現を向上させるために、複数のカメラを使用したスイッチングが行われていました。この方法は現代でも使用されています。スイッチャーを介してカットやワイプなどの効果を使った映像制作は、編集の基盤となりました。VTR（ビデオテープレコーダー）が開発される前は、テレビ放送を再放送する際、映像信号をキネコという装置でフィルムに記録していましたが、この方法は画質の劣化や現像時間の長さが課題でした。

その後、動画のアーカイブや再利用に対するニーズが高まり、VTRとビデオテープの開発が進展しました。この技術により、ビデオ編集はフィルム編集と同等の制作ツールとして成長していきました。

物理編集の手法

アメリカで普及した初めのビデオテープは2インチ幅のもので、走行速度は毎秒30インチでした。このようなテープは、映像信号を物理的に切り貼りする法で編集していましたが、非常に手間がかかり広く受け入れられることはありませんでした。

物理的な編集工程では、編集したいテープを特殊な薬品で処理してから、スプライサーという道具を用いて切りたい位置を見極め、テープを切断する方法が採られました。このプロセスは正確さが求められ、失敗すると映像が乱れる恐れがありました。また、映像と音声の読み込み位置の違いから、音声の編集は別途行う必要がありました。

このように、物理編集は高額なビデオテープの無駄遣いを招き、動画の直接的なカメラ操作によるロール編集の方が一般的に用いられるようになりました。初めて広範囲に物理編集を活用したテレビ番組は「Rowan & Martin's Laugh-In」です。

電子編集の導入

1960年代になると、2台のVTRを使用した電子編集システムが考案され、このシステムにより映像を瞬時に同期して編集できるようになりました。このような動きに対応して、1970年代後半はコンピューターによる編集機器が普及し、複数のVTRをタイムコードで同期させることが可能になりました。一般的な編集機としては、ソニーやCMXシステムズの製品が広く使用されました。

リニア編集の特性

リニア編集は「テープからテープへ」と記録する物理的なスタイルで、一度録画した映像の編集には上書きの必要があり、さらにはインサート後に連続再編集を行う必要があります。これによって、作業の複雑さが増し、アナログ記録特有の画像劣化が生じるケースもありました。

21世紀の変化

21世紀に入ると、コンピュータを利用したノンリニア編集が一般的になり、商業向けビデオ制作などで広く採用されるように。とはいえ、特にライブニュースでの素材編集では、従来のリニア編集がいまだに使用されています。ノンリニア編集と組み合わせて効率的な制作を目指す動きも見られ、今でもリニア編集は一定の現場で活用されています。

まとめ

リニア編集は、映像制作における重要な手法として多くの歴史を抱えており、技術の進化とともに変わらぬ需要があります。今後もその位置付けは保たれ続けるでしょう。

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