ノーアテンション

ノーアテンション：フランスから日本へ、そして伝説の種牡馬へ

1978年3月1日生まれのフランス産競走馬、ノーアテンション(No Attention)。その名は、日本で種牡馬として輝かしい成功を収めた彼の生涯を語る上で、決して無視できないものです。競走馬としては33戦に出走し、勝利こそ多くはありませんでしたが、14回の2着という記録は、その潜在能力の高さと、決して諦めない粘り強さを物語っています。特に1982年には、後に日本でリーディングサイアーとなるリアルシャダイが優勝したドーヴィル大賞で2着に食い込むなど、一流馬と互角に渡り合える実力を持っていました。中長距離を得意とし、スタミナ豊かなステイヤーとしての特性は、彼の産駒にも色濃く受け継がれることになります。また、1年7カ月という現役生活の中で、凱旋門賞からロワイヤルオーク賞まで4連闘を敢行するなど、類まれなタフさも持ち合わせていたようです。

引退後は日本へと渡り、種牡馬としての道を歩みます。そして、彼の真価がここに現れます。ノーアテンションの産駒は、数々のGI競走を制覇する一流馬を輩出しました。その代表格が、天皇賞（春）、天皇賞（秋）、菊花賞を制覇したスーパークリークです。この三冠馬級の活躍馬に加え、天皇賞（春）で2着に健闘したミスターアダムス、日経賞を制したテンジンショウグンなど、多くの活躍馬が彼の血を受け継いでいました。これらの成功から、ノーアテンションは、特に晩成型のステイヤータイプの競走馬を多く輩出する種牡馬として知られるようになりました。

しかし、彼の種牡馬としてのキャリアは1999年7月をもって終了し、用途変更を迎えました。その後は消息不明となっていますが、残された産駒たちの活躍は、彼の偉大さを後世に語り継いでいます。ノーアテンションの競走成績を見ると、マルセイユ・ヴィヴォー大賞、リュー賞で優勝、ドーヴィル大賞、オイロパ賞、コンセイユ・ド・パリ賞、モーリス・ド・ニュイ賞、フォワ賞で2着、さらにロイヤルオーク賞で4着、凱旋門賞で6着と、常に上位に食い込む活躍を見せています。これらの結果から、彼は高い競走能力とスタミナ、そして勝負根性を持っていたことが窺えます。

ノーアテンションの血統背景にも注目すべき点があります。父であるグリーンダンサーは1991年のフランスリーディングサイアーであり、20年以上に渡って多くの活躍馬を輩出した名種牡馬です。その代表的な産駒には、凱旋門賞を制したスワーヴダンサーや、日本で活躍したエイシンプレストンなどがいます。また、ノーアテンションの曾祖母には、ドイツの名馬ネッカー（ウニオンレネン、ドイツダービー、ヘンケルレネン、シャンティ賞優勝馬）の血が流れています。さらに、母方の血統には、ドイツで9度リーディングサイアーに輝いたティチノという名種牡馬の影響が確認できます。この優れた血統背景が、ノーアテンションの競走能力と、その後の種牡馬としての成功に大きく貢献したと言えるでしょう。

ノーアテンション自身は、華々しい勝利を多く収めた競走馬ではありませんでした。しかし、彼の血統と、タフな競走馬としての経験、そして優れた種牡馬としての能力は、日本の競馬界に大きな足跡を残しました。スーパークリークをはじめとする数々の名馬を輩出したノーアテンションの功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。彼の生涯は、競走馬としての輝かしい勝利だけでなく、種牡馬としての成功によって、より一層輝きを増しているのです。

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