ノースアンナの戦い

ノースアンナの戦い（1864年）は、南北戦争における重要な戦闘であり、北軍のユリシーズ・グラント中将と南軍のロバート・E・リー将軍率いる北バージニア軍との対決が繰り広げられました。この戦いは1864年 5月23日から26日まで続き、正式な会戦というよりも、バージニア州中部での一連の小規模な戦闘として展開されました。各戦闘は地域ごとの名称で呼ばれ、例えば「電信道路橋」や「ジェリコミル」などが知られています。

背景

1864年5月20日夜、グラントはウィンフィールド・スコット・ハンコック少将の第2軍団をスポットシルバニアからミルフォード・ステーションに派遣しました。この移動は、南軍が北軍の孤立した軍団に対して攻撃することで、南軍を開けた戦場に誘い出すことを狙ったものでした。北軍はアルフレッド・トーバート准将の騎兵隊が南軍の歩兵の小部隊を駆逐することで、リーに警戒感を抱かせました。リーは、北軍が右側面に回り込もうとしていると考え、ポー川の南岸に軍を移動させました。

5月21日、北軍の一部が退いたことを受け、リーはさらに南のノースアンナ川へと撤退を命じました。グラントはハンコック軍団を孤立させないようにし、ポトマック軍の残りも移動させ、リーが攻撃してくる前に合流させる努力をしました。

戦闘の展開

リー軍は5月22日にノースアンナ川に到着し、援軍を受けたことは北バージニア軍にとって好材料でした。しかし、上級指揮官の多くが病気や負傷で不在となり、リー自身も健康状態が悪化していました。リー軍はノースアンナ川の急斜面に陣を構え、巧妙に防御を施しました。防御線は「豚の鼻ライン」とも呼ばれる逆V字形を形成し、その中心には唯一の渡河点であるオックスフォードが存在しました。

5月23日、北軍がノースアンナ川に到達し、ウォーレンの第5軍団が無防備なジェリコミルで渡河を開始しました。この時、A・P・ヒルの南軍が北軍に攻撃を試みましたが、成功せず、北軍は塹壕線に入ることができました。この戦闘でリーはヒルの行動に激怒し、攻撃の統率を求めました。

5月24日、ハンコックの第2軍団がオックスフォードの東で攻撃を行い、川を渡りましたが、抵抗のためバーンサイドの第9軍団は渡河を断念しV字の北岸に留まりました。この段階で、グラントは自軍が分散していることに気づき、一部隊が他の部隊を支援するにはノースアンナ川を2回渡る必要がある状況にあります。リーはその機会を生かすことができましたが、病気のために指導力が発揮できませんでした。

グラントは南軍の強固な防御に直面し、攻撃を行わない決断を下しました。5月25日と26日は軽い小競り合いが続くのみでした。グラントは騎兵師団を使って南軍の側面を包囲しようと試みましたが、接触はなく、5月26日の晩にグラントは20マイル南東のコールドハーバーへと軍を移しました。グラントはこの移動に勇気づけられ、次の手段を考え始めました。

戦闘の結果

この戦いとその後のコールドハーバーの戦闘では、グラントの楽観主義と防御への挑戦が厳しく試されることとなります。ノースアンナの戦いは、他の戦闘に比べれば小規模なものであり、北軍は4日間で戦死186名、負傷792名、不明または捕虜165名といった損失を被りました。南軍の損失は不明ですが、推定で約2,000名とされています。ノースアンナの戦いは、南北戦争全体の中でも重要な局面の一つとなっています。

参考文献

- National Park Service battle description
- Eicher, David J., The Longest Night: A Military History of the Civil War, Simon & Schuster, 2001.
- Esposito, Vincent J., West Point Atlas of American Wars, Frederick A. Praeger, 1959.
- Foote, Shelby, The Civil War, A Narrative: Red River to Appomattox, Random House, 1974.
- Smith, Jean Edward, Grant, Simon and Shuster, 2001.

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