ノースブルック男爵

ノースブルック男爵位の歴史

ノースブルック男爵位は、イギリスの世襲貴族爵位の一つです。1866年、ベアリング家のフランシス・ベアリングに与えられたことに始まります。ベアリング家は、ベアリングス銀行の創設で知られる名家です。

初代ノースブルック男爵、フランシス・ソーンヒル・ベアリングは、ホイッグ党政権下で要職を歴任した人物でした。彼の功績が認められ、男爵位が授与されたのです。

彼の息子、トマス・ジョージ・ベアリングは、第2代ノースブルック男爵となりました。彼は1872年から1876年までインド総督を務め、インド統治に尽力しました。しかし、彼の親インド的な政策は、イギリス政府内での反対を招き、結果的に辞任に追い込まれることになります。

興味深いことに、インド総督退任後の1876年、トマス・ジョージは、さらに伯爵位を授与されました。彼はノースブルック伯爵を名乗ることになります。しかし、この伯爵位は彼の血統では二代で途絶えてしまいました。

一方、ノースブルック男爵位は、初代男爵の弟の系統によって継承されてきました。現在の当主は第6代ノースブルック男爵フランシス・トマス・ベアリングです。彼は1999年の貴族院改革後も、世襲貴族として議席を維持しています。

ベアリング家と爵位

ベアリング家の歴史は、ノースブルック男爵位のみならず、他の貴族爵位とも深く関わっています。ベアリング家の祖であるサー・フランシス・ベアリングは、1793年に準男爵位を授与されています。この準男爵位も、現在に至るまでベアリング家によって継承されています。

初代ノースブルック男爵の叙爵は、ベアリング家の歴史の中で重要な転換点となりました。ベアリング家は、財界のみならず、政治・外交など幅広い分野で活躍し、イギリス社会に大きな影響を与えてきました。

第2代ノースブルック男爵とインド総督

第2代ノースブルック男爵トマス・ジョージは、インド総督としての在任中に多くの課題に直面しました。イギリスとインドの関係は複雑で、多くの利害が絡み合っていました。彼の親インド的な姿勢は、イギリス国内の保守派からの反発を招いたのです。

彼は、インドの経済発展や社会改革に尽力しましたが、イギリス政府との軋轢は避けられず、結局インド総督を辞任することになります。しかし、その功績は認められ、伯爵位が与えられました。

現在のノースブルック男爵と将来

現在のノースブルック男爵、フランシス・トマス・ベアリングは、長い歴史を持つこの爵位を継承し、その伝統を守り続けています。彼は、貴族院議員としての役割を果たしながら、ベアリング家の伝統を次世代へと繋ぐ責任を担っているのです。

ノースブルック男爵位は、イギリス貴族の歴史において重要な位置を占めており、ベアリング家の繁栄と軌を一にしています。今後も、この爵位がイギリスの歴史にどのような影響を与えていくのか、注目されます。

系譜

準男爵位(ラークビーアの)

初代: サー・フランシス・ベアリング (1740-1810)
第2代: サー・トマス・ベアリング (1772-1848)
第3代: サー・フランシス・ベアリング (1796-1866) - ノースブルック男爵に叙爵
... (以降継承)
第8代: フランシス・トマス・ベアリング (1954-) - 現在のノースブルック男爵

ノースブルック男爵位

初代: フランシス・ソーンヒル・ベアリング (1796-1866)
第2代: トマス・ジョージ・ベアリング (1826-1904) - ノースブルック伯爵に叙爵
第3代: フランシス・アーサー・ベアリング (1882-1947)
第4代: フランシス・ジョン・ベアリング (1915-1990)
第5代: フランシス・トマス・ベアリング (1954-) - 現在のノースブルック男爵

ノースブルック伯爵位

初代: トマス・ジョージ・ベアリング (1826-1904)
第2代: フランシス・ジョージ・ベアリング (1850-1929) - 子がなく絶える

参考文献

* 浜渦哲雄『大英帝国インド総督列伝 イギリスはいかにインドを統治したか』中央公論新社、1999年

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