ノートルダム (オペラ)

フランツ・シュミットのオペラ『ノートルダム』

フランツ・シュミットが作曲し、1914年に完成した3幕構成のオペラ『ノートルダム』は、ヴィクトル・ユーゴーの不朽の名作『ノートルダム・ド・パリ』を原作としています。レオポルト・ウィルクとシュミット自身が共同で台本を執筆し、原作の壮大かつドラマティックな世界観を舞台上に再現しようと試みました。

初演とその後

『ノートルダム』は1914年4月1日にウィーン宮廷歌劇場で初演され、地元ウィーンではその後もたびたび上演されるなど、高い人気を博しました。しかし、残念ながらウィーン以外での上演機会は多くありません。にもかかわらず、このオペラの間奏曲は、ドイツやオーストリアを中心に広く知られており、ラジオ放送などを通じて親しまれています。

間奏曲の魅力

間奏曲は、『ノートルダム』の中でも特に人気のある楽曲です。その構成は以下のようになっています。

まず、ヴァイオリンが変ロ長調の序奏主題を奏で、静かに幕を開けます。続いて、変ニ長調に転調し、ハープの伴奏に乗せて弦楽器が新たな主題を提示します。この主題は次第に高まり、全オーケストラによる壮大な響きへと発展します。その後、音楽は落ち着きを取り戻し、ハープの分散和音が静かに響く中、第2部へと移行します。

第2部では、木管楽器と弦楽器が叙情的な主題を奏でます。変ニ長調と変ト長調の間を揺れ動きながら、情感豊かに歌い上げられます。そして、最後は変ロ長調に戻り、穏やかに曲を閉じます。

この間奏曲は、3つの主要な動機が用いられていますが、そのうち2つは原調から派生したものです。そのため、全体として統一感のある印象を与え、聴く者を物語の世界へと引き込みます。

日本での紹介

日本においては、1956年7月27日に日比谷公会堂で初演が行われました。指揮を務めたのは、ヨハン・シュトラウス2世の流れを汲むエドゥアルト・シュトラウス2世であり、彼はフランツ・シュミットの弟子でもありました。

楽器編成

『ノートルダム』は、以下の楽器編成で演奏されます。

フルート 2
ピッコロ
オーボエ 2
クラリネット 2
ファゴット 2
コントラファゴット
ホルン 4
トランペット 3
トロンボーン 3
ティンパニ
シンバル
タムタム
ハープ
弦五部

この豊かな楽器編成が、『ノートルダム』の壮大かつ繊細な音楽を支えています。

参考資料

最新名曲解説全集 補巻第1巻（音楽之友社）

外部リンク

歌劇『ノートルダム』の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

『ノートルダム』は、フランツ・シュミットの才能が結実した傑作であり、特に間奏曲は、オペラを知らない人にも親しみやすい美しい旋律を持っています。ぜひ一度、その魅力に触れてみてください。

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