ノーフォーク伯爵

ノーフォーク伯爵

ノーフォーク伯爵は、イングランド貴族における重要な爵位の一つです。その歴史は複雑で、過去に4度創設されており、それぞれの時代で異なる家系が爵位を保持しました。現在のノーフォーク伯爵位は、ノーフォーク公爵ハワード家によって、ノーフォーク公爵位の従属爵位として世襲されています。

歴史

第1期

最初のノーフォーク伯爵は、ラルフ・ド・ガーダーでしたが、反逆の疑いにより爵位を剥奪されたと考えられています。

第2期

1141年、ヒュー・ビゴッドが叙爵されたことで、第2期のノーフォーク伯爵が始まりました。この家系は5代にわたり爵位を保持しましたが、1306年に5代伯爵ロジャーが子を残さずに死去したため、断絶しました。

第3期

エドワード1世の息子であるトマス・オブ・ブラザートンが1312年に叙爵されたことで、第3期のノーフォーク伯爵が始まりました。トマスの娘マーガレットが爵位を継承し、後にノーフォーク女公爵にも叙されました。その後、マーガレットの娘エリザベスの子であるトマス・ド・モウブレーが爵位を継承しましたが、ヘレフォード公ヘンリー（後のヘンリー4世）との決闘騒ぎを起こし、ノーフォーク公爵位を剥奪されました。しかし、彼の息子が第4代ノーフォーク伯爵を継承しました。

トマスもヘンリー4世に反抗したため処刑されましたが、弟のジョンがノーフォーク公爵位の復権を認められたことで、モウブレー家がノーフォーク公爵位とノーフォーク伯爵位を継承することになりました。しかし、第4代ノーフォーク公爵・第7代ノーフォーク伯爵ジョンの死後、ノーフォーク公爵位は絶えましたが、ノーフォーク伯爵位はジョンの娘アン・ド・モウブレーまで継承されたと考えられています。

第4期

第21代アランデル伯爵トマス・ハワードが1644年に叙爵されたことで、第4期のノーフォーク伯爵が始まりました。その孫である第23代アランデル伯爵・第3代ノーフォーク伯爵トマスが第5代ノーフォーク公爵位に復権したため、以降ノーフォーク伯爵位はノーフォーク公爵位の従属爵位としてハワード家に世襲されています。

2014年現在のノーフォーク伯爵は、第18代ノーフォーク公爵であるエドワード・フィッツアラン＝ハワードです。

歴代ノーフォーク伯爵

ノーフォーク伯爵（及びサフォーク伯爵）第1期

ラルフ・ド・ガーダー（1074年剥奪）

ノーフォーク伯爵 第2期

ヒュー・ビゴッド (初代ノーフォーク伯爵)
ロジャー・ビゴッド (第2代ノーフォーク伯爵)
ヒュー・ビゴッド (第3代ノーフォーク伯爵)
ロジャー・ビゴッド (第4代ノーフォーク伯爵)
ロジャー・ビゴッド (第5代ノーフォーク伯爵)

ノーフォーク伯爵 第3期

トマス・オブ・ブラザートン (初代ノーフォーク伯爵)
マーガレット (ノーフォーク女公爵・第2代ノーフォーク女伯爵)
トマス・ド・モウブレー (初代ノーフォーク公爵・第3代ノーフォーク伯爵)（1399年ノーフォーク公爵剥奪）
トマス・ド・モウブレー (第4代ノーフォーク伯爵)
ジョン・ド・モウブレー (第2代ノーフォーク公爵・第5代ノーフォーク伯爵)（1425年ノーフォーク公爵復権）
ジョン・ド・モウブレー (第3代ノーフォーク公爵・第6代ノーフォーク伯爵)
ジョン・ド・モウブレー (第4代ノーフォーク公爵・第7代ノーフォーク伯爵)（1476年ノーフォーク公爵休止）
アン・ド・モウブレー (第8代ノーフォーク女伯爵)

ノーフォーク伯爵 第4期

トマス・ハワード (第21代アランデル伯爵・初代ノーフォーク伯爵)
ヘンリー・ハワード (第22代アランデル伯爵・第2代ノーフォーク伯爵)
* トマス・ハワード (第5代ノーフォーク公爵・第3代ノーフォーク伯爵)（1660年ノーフォーク公爵復権）

以降ノーフォーク公爵位の従属爵位として現在まで続いています。



参考文献:
森護『英国の貴族 遅れてきた公爵』大修館書店、1987年。ISBN 978-4469240979

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