ノーマン・デロ＝ジョイオ

ノーマン・デロ＝ジョイオ（1913年1月24日 - 2008年7月24日）は、アメリカ合衆国を代表する作曲家の一人です。彼の作品は、合唱音楽、管弦楽、吹奏楽など多岐にわたり、アメリカ音楽界に大きな足跡を残しました。

生い立ちと教育

ニューヨークで生まれたデロ＝ジョイオは、音楽一家に育ちました。イタリア移民である父親は、ピアノとオルガンの奏者であり、メトロポリタン歌劇場の歌手たちの声楽トレーナーも務めていました。幼少期から父親の手ほどきを受け、4歳でピアノを、10代で名付け親でもある聖パトリック大聖堂のオルガン奏者、ピエトロ・ヨンからオルガンを学びました。14歳にして、シティ島の海の星教会のオルガン奏者兼合唱指揮者という重責を担うことになります。1939年、ジュリアード音楽院への奨学金を得て、ベルナルト・ワーヘナールに作曲を師事しました。

作曲家としての成長

学生時代には聖アン教会のオルガン奏者として働きながらも、オルガン奏者としての道に見切りをつけ、作曲家として生きることを決意します。1941年からはパウル・ヒンデミットに師事し、当時の音楽界を席巻していた無調音楽に自身の抒情的な作風を埋没させることのないよう、激励を受けました。このヒンデミットからの助言は、彼の作曲家としての方向性を決定づける重要なものとなりました。

1940年代後半には、アメリカを代表する重要な作曲家の一人として認識されるようになり、数々の賞を受賞しました。特に合唱作品は彼の代表作として広く知られています。吹奏楽の分野では、ミシガン州立大学ウィンド・アンサンブルのために作曲された「ハイドンの主題による幻想曲」が世界中で数えきれないほど演奏されています。また、高校やプロの弦楽合奏団のために「弦楽合奏のための3つの舞曲」を作曲するなど、教育的な作品も手がけました。

受賞歴と栄光

1957年、管弦楽曲「知恵の書による瞑想」でピューリッツァー賞を受賞。1965年には、NBC放送のテレビ番組「ルーヴル」のために作曲した音楽でエミー賞を受賞するなど、その才能は高く評価されました。

教育者としての貢献

デロ＝ジョイオは、作曲家として活動する傍ら、教育者としても後進の育成に尽力しました。1944年から1950年までサラ・ローレンス大学とマネス音楽大学で教鞭を執り、その後ボストン大学で教授および学部長を務めました。1978年に退任後はロングアイランドに移住し、晩年まで作曲活動を続けました。

主要作品

管弦楽曲、弦楽合奏曲
変奏曲、シャコンヌと終曲 (1949)
交響曲「聖ジョアンの勝利」(1951)
交響組曲「エア・パワー」(1956)
知恵の書による瞑想 (1956)
エア (1967)
3つの舞曲 (1972)
オペラ
聖ジョアンの勝利 (1950/1956/1959)
合唱曲
神秘のトランペッター (1943)
寓話 (1946)
歓喜の歌 (1946)
ダヴィデの詩篇 (1950)
現代人の時代 (1968)
詩篇作者の瞑想 (1969)
吹奏楽曲
中世の主題による変奏曲 (1963)
「ルーヴル」からの情景 (1966)
ハイドンの主題による幻想曲 (1968)
アベラールの歌 (1969)
サティリック・ダンス (1975)

ノーマン・デロ＝ジョイオの作品は、その抒情性と美しい旋律、そして深い精神性によって、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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