ノーム・キャッシュ

ノーム・キャッシュ

ノーム・キャッシュ（Norman Dalton Cash, 1934年11月10日 - 1986年10月12日）は、アメリカ合衆国・テキサス州ジャスティスバーグに生まれた元プロ野球選手であり、主にメジャーリーグのデトロイト・タイガースで一塁手として活躍しました。キャッシュは左投左打の選手であり、通算377本塁打という立派な成績を残しました。この成績は1974年の彼の引退時点において、アメリカンリーグの左打者ではベーブ・ルース、テッド・ウィリアムズ、ルー・ゲーリッグに次ぐ4位であり、タイガースの歴史においても長年チームメイトとしてプレイしたアル・ケーラインの399本塁打に次ぐ2位というものです。

経歴と活躍

キャッシュはサルロス州立大学で野球とアメリカンフットボールのランニングバックとしても優秀な成績を収め、NFLのシカゴ・ベアーズから指名されながらも、1955年にシカゴ・ホワイトソックスへ入団します。彼のメジャーリーグデビューは1958年であり、最初の数年間は期待通りの成績を収めることができませんでしたが、徐々にその実力を示し始めます。

特に1961年には打率.361を記録し、首位打者のタイトルを獲得。さらにリーグ1位の出塁率.488や本塁打41本、打点132を挙げるなど、その年は特に目立った活躍を見せました。ただし、この年のニューヨーク・ヤンキースとの競争の中で、キャッシュの存在感は薄れてしまった部分もあります。彼はまた、コルクバットを使用していたことを引退後に告白し、その影響で場外本塁打を放つこともありました。

その後もキャッシュは主力打者としての地位を確立し、1968年にはチームのワールドシリーズ制覇に貢献。セントルイス・カージナルスとのシリーズでは打率.385を記録する活躍を見せますが、その後の1972年には地区優勝を達成しました。1974年には成績不振が続き、8月に解雇されて現役を引退しました。

引退後と個性

現役引退後は解説者としての道を歩み、1976年からABCの野球番組で解説を行い、その後タイガースのケーブル放送にも出演しました。キャッシュは、1971年にヘルメット着用が義務化されても、数少ない非着用選手の一人として知られており、ユーモアのセンスでファンやチームメイトからの人気も高かったです。

彼のフィールド上でのエピソードの中には、ノーヒットノーランを達成したノーラン・ライアンとの対決でバットの代わりにクラブハウスのテーブルの足を使おうとして球審に止められたり、試合中にタイムを要求してタッチアウトになるなど、数々の愉快な出来事が残っています。また、彼はヘルメットを被ることを嫌がり、ボディランゲージを用いてコミュニケーションを取ろうとするユニークなスタイルも見せました。

キャッシュは1986年10月12日にミシガン州のビーバー島でボート事故により51歳で命を落としましたが、その功績は今も多くの人々に語り継がれています。彼の多彩な才能と人間性は、プロ野球界において忘れられない存在となることでしょう。

もう一度検索